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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

コラム-082:ACS RCAとLCX 責任病変の違いを、また考えてみましょう 1/2

   似たような病変のACS症例を、連続で提出しました。

 ACSのいろんな心電図パターンを、学んで頂くためです。

右冠動脈(RCA : Right Coronary Artery)

回旋枝(LCX : Left Circumflex artery )

 結論を云うと、

ACSと、瞬時に判断できるのがベスト。責任病変が、RCA or LCXなのかは、二次的問題です。 】

【 各々の解剖学的支配領域のバリエーションを、理解しましょう 】

【 その上で、RCA/LCXのACSでの心電図変化の特徴を、ちょっと知っておく 】

 自分の病変推定が正しかったかは、PCIが済んでから、ゆっくりと珈琲でも飲みながら考えましょう。

==RCAの解剖学的特徴=

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* #1,2,3は、右房/右室の間(=房室間溝)を走っています。左室の下後壁を栄養するための、いわば導管です。

* よって、どこで閉塞しても心電図変化に変わりはない?

* 右室自由壁への虚血が、右室梗塞像を呈することがあります。

* 洞結節動脈の閉塞で、洞停止はあり得ます。

*但し、#1で閉塞した場合でも、右室梗塞も徐脈・洞停止が起きない事もあるのが、不思議なところです。

* 4PDは、心室中隔の下方を栄養します。(室間溝を走行)

* 4AVは、左房/左室の間(=房室間溝)の下部を栄養します。


==LCXの解剖学的特徴=

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* 回旋枝の支配領域は、側壁(自由壁)が主体です。

* よって、側壁誘導( I, aVL, V5,6)でST上昇を示しやすい、ハズです、論理的には。

* でも、現実的には、分かりやすい心電図変化を示しにくいこともある。

* 回旋枝が大きいと、下後壁まで虚血が発生し、II, III, aVFでのST上昇あり得ます。

* 場合によっては、V5,6でST上昇し、V2,3でST低下と云うお隣さん同士でのミラーイメージも経験します。このヘンよく説明しにくいです。

* 刺激伝導系支配は少なく、AV block合併例は、ほとんどありません。

  で、RCAとLCXの支配領域は、冠動脈の個体差で、結構重なるんです。

 冠動脈の支配領域は、症例毎に、本当に異なります。

 よって、心電図でのST-T変化も、症例毎に異なるんです。

 取り敢えず、RCA / LCX のACSでの心電図所見・比較表です。

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 これを、覚えようとしないで下さいね。キッパリと鑑別出来ないんだなあ~と、感じて頂ければ結構です。

 何度も、云ってますように、ACSと感じ取ることが大切なのであって、どっちの病変なのか、当てっこは、さほど価値ないんです。

 では、次回で実症例一覧です。

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