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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

コラム-096:高カリウム血症時のテント状T波はなぜ発生するのか? その3 ( 0相と1相と2相 )

++2018/10/6に、岡田保紀氏の助言を頂き、図譜の改編を行っています。感謝です。++


カリウム血症の心電図変化は、

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◎高カリウム血症で、静止膜電位が上昇する。

Naイオンの細胞内流入が遅くなり、QRS幅が広くなる。

◎一方、再分極を起こすKチャネルは開きやすくなり急速にKイオンが細胞外に流出する。T波が増高し、狭くて先鋭化する。

◎心房筋は、最初に動けなくなり、P波は消失する。(でも、心房内伝導は残っている。( sino-ventricular conduction / rhythm )

◎最後には、サインカーブ化して、心停止となる。

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 これが、高カリウム血症の心電図変化の普通の説明です。

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 では、前回(静止膜電位)に引き続き、心筋細胞の興奮の説明です。

 細胞膜の電気的興奮は、01234相と別れます。

 4相は静止膜電位で、PQRST間の基線の部分でしたね。

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 ナトリウムの細胞内への急速流入が始まります。(0相です)

 急激な細胞膜電位の上昇があり、一挙にプラス電位まで跳ね上がります

。ナトリウムチャネルが開くと、細胞外>細胞内のNaイオンの濃度勾配によって、一気に流入するんです。

(Gap junction関連のお話しは、省略です)

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 それを調整しようと、カリウムチャネル(Ito)が働き、K+イオンを細胞外に押し出すことで、細胞膜電位を 0V付近へちょいと戻します。(1相です)

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 続いて、Ca++イオンが細胞内へチャネルにより、ややゆっくりと入ってきます。これによって、細胞内カルシウム濃度が高まり、さらに筋小胞体からもCa++イオンがリリースされます。後は、ミオシンとアクシンが重合して心筋収縮が発生します。この流れは、ご存じですね。

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細胞膜にあるナトリウムチャネルが開く→急速にNa+イオンが流入

続いてCa2+イオンがゆっくりと細胞内へ流入

(電流量は、下図のようになります)

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クリックすると、ECGが拡大します。

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 細胞内にプラスイオンが入るだけでは、いつまでも活動電位が続きます。K+イオンが持続的に細胞外へ出ていきます。

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次回、カリウムチャネルのお話しです。そして、テント状T波の登場です。

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