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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

コラム-097:正常心筋細胞の細胞膜電位の美しい図です。

 前回は、高カリウム血症時のテント状T波発生機序を、電気生理学的に説明する、を行いました。

 私は、とても勉強になりました。

 でも、親切な説明とは、見返しても云えませんでした。

 正常な心筋細胞の(細胞膜電位の変動)を、丁寧かつスマートに説明します。

 メディカルシステム研修所所長:岡田保紀 氏の著書

 心電図のこころ p-22の図を、著者の許可を得て、掲載します。

 http://www.kenn.co.jp/tuhan.htm

 (2400円。189ページ。まるごと心電図解説。上記websiteより購入可)

 心電計自体・心筋の電気生理学を、学びたい方にお勧めします。波形パターンを覚えるのではなく、生理学としてアプローチしたい方は必須です。

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 心筋細胞の電気的興奮が、一目瞭然の素晴らしい図です。

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(1)分極状態

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 -90mVの分極で、静かな状態です。心筋は動いておりません。

 (4相です)

 Ik1が、この分極状態を維持しています。

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(2)脱分極 の開始

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 Na+イオンが急速に内向き(細胞内)へ流入です。

 バケツの底を抜いたような、と私は表現しております。

 細胞膜電位は、-90Vから一挙にプラスへ上昇します。

0相です)

  Naチャネルが関与します。パッと開いて、すぐに閉じられます。

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 図の真ん中に、Kが一瞬多く出て、とあります。IkTOです。

 (1相です)

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(3)脱分極継続

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 Ca2イオンが緩徐に内向き(細胞内)へ流入です。

 じょうろで流すように、と表現してます。

 このCa流入が刺激となって、筋小胞体よりCa2が沢山リリースされます。

 →そしてミオシンとアクシンが重合し、物理的心筋収縮が発生します。

 (2相です)

 Caチャネルが関与します。ゆっくりとした流入が収縮継続を維持します。

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(4)再分極

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 K+イオンが、外向き(細胞外)へ流出です。

 複数のK+チャネルが共同して作動します。

 (3相です)

 Ikur,Ikr,Iks、そしてIk1チャネルが関与します。

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 再び、静かな時が流れます。

 静止膜電位は-90mVに安定化されます。

 =再分極の維持で、Ik1チャネルがコントロールしています。

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 図の中央を見ると分かるように、カリウムチャネルは、持続的に細胞外へだらだらと流出しています。これは、静止膜電位を-90mVに保ち、安定状況を得るためです。

 一方向流出で、なんでカリウムイオンが細胞内から枯渇しないのかは、Na/Kポンプ等で、逆に細胞内への取込がされているためです。そのバランスは、難しくてよく分かりません(_?)

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 さて、これを学んでも、体表面心電図たる12誘導心電図波形とどうリンクしているの?が、知りたいですよね。

 上記の図は、心筋細胞内での電位変化の概念図です。体表面心電図は、その心筋細胞興奮の総和で、イコールではないのですが、ざっくり以下の関係となります。

 心電図のこころ p-24 より。

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_edited1

 

◎ 細胞内電位の高まりの集合体がQRS

◎ 再分極過程が、T

  と、理解出来ますね。

 引用したい図譜が、まだまだ沢山ありますが、はっと気付いたら全ページ引用となってしまいます。

 後は、ご自身で確認されて下さい。素敵な本です。

 図譜引用を、ご許可頂き、岡田保紀氏に、感謝です。.

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