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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-314:answer

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https://heart2019ecg.hatenablog.com/entry/2019/05/01/164039

 心房細動による塞栓症は、時に多発性塞栓症(shower embolism)を起こします。ワルファリンであれば、一回くらい忘れても、効果は持続しますが、DOACはすぐに失効します。(今回、飲み忘れの有無はハッキリしません)

 

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クリックすると、心電図が拡大します 

 

(X day 14:25 ER 搬入時の心電図)

* 心房細動です。

 CRBBBです。

* 基線は、ノイジーですね。

 

 

(X+1 day 06:27 病棟での看護記録の心電図)

  心房細動です。

  CRBBBのままです。

  II, III, aVFで、明らかなST上昇を示します。

  I, V5,6でも、ST上昇あり。

  aVLでのST変化は、ハッキリしません。

  V1-4で、STの著明低下を示します。

 

 ACSの発症を捉えた心電図です。

 これは、異存ありませんよね。

 脳塞栓に続いて、冠動脈での塞栓が発生したんです。勿論、脳外科による抗凝固療法は、行われていました。

 

Ecg3146acsweb

 

 

 この後、緊急のPCIが施行されました。

 皆さんは、どのような病変を想像されたでしょうか?

 

  LMT病変 V1-3の著しいST低下は、そんな事も想像させます。

  RCA病変 なんせ II, III, aVFでの明瞭なST上昇なんですから。

  LCX病変 I, V5,6で,ST上昇あるので、大きめの回旋枝病変では。

  血栓がLADの#8で詰まった。心尖部を巻き込んでいる。

 いろいろと、妄想出来そうです。

 

 心カテでは、#12 遠位側での血栓性閉塞を確認しました。thrombusterでの血栓除去を行い、PCIを終了しています。

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 右冠動脈の支配領域は、左室下後壁にあんまり及んでいません。

 #12は、側壁・下後壁を支配しているようです。

 

 胸部誘導におけるミラーイメージとしてのST低下は、遠位側閉塞で顕著になる傾向があります。

 例えば、(大きめの)右冠動脈の閉塞では、入口部閉塞(#1)の場合、V1-3の対側性ST低下は目立ちません。右室梗塞でのST上昇が、V1-3の対側性ST低下を打ち消すからです。#3くらの閉塞の方が、ミラーイメージ変化が大きくなります。

 

 とは云ってもですね、V5,6でST上昇し、そのとなりのV4からSTがしっかり下がるのは、(対面の理論)でボクは、なかなか納得出来ません。

 

【ミラーイメージを、単純な対側と思わない方が良い】

 

と、どっかに述べられてましたけど、原典どこだったけ・・?