80才女性の方の(心エコー)(心筋シンチ)です。
この画像から心電図を想起する意味は、
【 心電図からこの画像が思い浮かべるようになる 】
事なんですね。
肥大型心筋症のMaron分類です。
(心エコー)
*心室中隔の肥大は、凄いですね。
*左室長軸と短軸像より、後壁(5~7時方向)が肥大をちょっと免れています。非対称性肥大です。
*4C(四腔像)では、上記肥大と共に、心尖部の肥大を想起させます。
心尖部肥大は、心エコーの近位分解能が向上することで、判読が可能となりました。(但し、真の心尖部をエコーで捉えることは、なかなか難しく、心筋斜め切りで、分厚く思えることもあります。要注意です。)
この方は、呼吸停止の協力ができないので、MRIでの確認はムリ。
(心筋シンチ)
*テクネシウムによる心筋シンチ(SPECT)を撮像しました。
*Transverse(水平断面)・Sagital(長軸断面)で、心尖部肥大が認められます。短軸像では、後壁の狭い部分が相対的にhypo-perfusionです。
→これは虚血ではありません。他の部位が肥大なだけです。
(聴診でのS4:4音聴取)
左心房がどっこらしょ!と収縮して、心室に血液を押し出す音です。肥大心の拡張障害を意味します。(左心室の柔軟性が失われている)
という前提で、この症例の心電図を思い浮かべて下さい。
この症例の12誘導心電図です。
*洞調律です。
*やや高電位です。
*V5,6にseptal-q waveがない。
*V4-6の陰性T波あり。(I, aVL, II, III 誘導にも)
あれ、巨大陰性T波がないよ?
そうなんですね。全てが典型例になる訳ではありません。
この症例は中隔上部の肥大も強く、純粋な心尖部肥大の心電図(Giant Negative T wave)にならなかったようです。
Voltageも、もっと高くていい気もしますが、肥大しても起電力として元気がないと、このようなこともあります。
【 実際のHCMはいろいろと心電図のvarietionが多い 】
典型例を覚えて、またそれに達しない心電図波形もあるんだ、いろいろあるんだとご理解下さい。