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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-331:answer(3/3)

循環器看護師の方々への(LAD-ACS)症例解説です。

 

広範囲前壁梗塞と聞いて、どんな冠動脈病変が思い浮かびますか?

前下行枝病変しかありませんね。この12誘導心電図からは、かなり起始部の閉塞だと思われます。でないと、これだけ多くの誘導でST-T変化は起きません。

 

 

まず、右冠動脈(RCA)の造影です。

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RCAに、問題はありません。

側副血行路は、はっきりしません。

三枝病変ではないことが、わかりました。

  • 三枝病変だと、緊急CABG/IABP使用などを含め、治療戦略が変わってきます。

 

 

左冠動脈(LCA)の造影です。

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回旋枝(LCX)は、問題なし。

前下行枝(LAD) #699%閉塞で、遅延造影となります。

同枝間バイパスはないようです。

*大きなLADによる急性心筋梗塞で、早急な冠血流再開が、必要です。

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ガイドワイヤー通過と血栓吸引です。

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*ガイドワイヤーをLADに通過させます。

血栓吸引(thrombuster)を#6周辺で施行します。

*大きなLADの全貌が、見えてきました。

 

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血管内超音波(IVUS)STENT留置です。

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血管内超音波(IVUS)で、病変を評価します。

(適切な)STENTを留置します。シナジーステント30×28mm.

 

 

 

 

PCI終了時の確認造影です。

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6stent留置です。

血流が回復し、対角枝(D1)も確認されます。

LADD1を含め心尖部周囲を支配しています。

 

 

 

タリウム心筋シンチを施行しました。

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PCI1週間経過しております。

赤矢印()の部分=心尖部の心筋が欠損しています。

 心室腔の拡大は、無いようです。

 

 

 

 

cardio2012-ECG313-echoUp 01 LVlong

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左室長軸像です。

心室中隔の心尖部よりの部分が、壁運動低下しています。

左室の拡大は、著明ではありません。

PCIにより障害領域は、限定的になったようです。

 

 

 

cardio2012-ECG313-echoUp 02 4C without LV thrombus

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心尖部からの四腔断層像です。

心尖部に心室瘤がありますが、小さめです。

そのうちもっと改善するかも・・と安心気味でしたが。。

 

 

 

 

cardio2012-ECG313-echoUp 03 4C with LV thrombus

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心尖部を丹念に見ていくと、やや浮動性の左室心尖部血栓が見つかりました。

◎心エコーは、三次元を二次元でスライスしていきます。心室瘤があった場合は、血栓があるかも!との前提でスキャンしないと、見落としに繋がります。要注意です。

 

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心電図と各種検査結果の統合画面です。 

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ERで出会ったの急性心筋梗塞でした。

 

*広範なST−T変化を呈しました。

LAD-#699%(遅延造影)病変でした。

*心尖部の心筋壊死を、心筋シンチで確認。

*心エコーでは、左心拡大(remodeling)は、まだありません。

*しかし、よく観察すると心尖部血栓(やや浮動性)を確認しました。

 

 

この患者さんには、抗血小板薬1剤・β-blockerRAS阻害薬と抗凝固療法がなされ、リモデリング・塞栓症合併阻止に努めております。

 

 

1枚のER心電図から、このような展開も想像出来ると、臨床力アップです!