60才代男性です。
X+3分 bystander-CPR開始
X+30分 ERへ救急車到着
X+45分 PCPS稼働開始 胸骨圧迫終了(心カテ室にて)
PCPS作動下で、Questionの12誘導心電図が記録されました。先行投与されたアミオダロンは効果しません.
コントロール造影で、LCAに問題が無いことが分かりました。だからこそ、胸骨圧迫で心拍出が保たれたのでしょう。
右冠動脈(RCA)は、#2で完全閉塞です。
左冠動脈(LCA)は、有意病変無し。
Judkins(right)ではRCAが造影できない。RCAの開口部がhigh take-offで、かつ前方に向いています。今度はValsalva shotではなく、Judkins(left)を使って造影しました。99% stenosis with severe delayとなっています。
血栓除去のためにthrombusterを使いました。
血栓除去後に、#2の長い偏位の強い狭窄がハッキリしました。ballooningとstent留置が行われます。
この最終造影の後に、DC-shock一撃で、洞調律に戻りました。(紙送りスピード10mm/sec.に注意)
なお、DC-shock前から動脈圧波形があるのは、IABPによる効果です。
25mm/sec.での記録では、
*著明なST上昇 II,III,aVF。
*ミラーイメージのST低下 I, aVL。
*後壁のミラーイメージとして、V2-4のST低下もあります。
IABP,PCPSと、CHDF用のカテーテルが左内径静脈より、CV-lineが右内径静脈より挿入されました。
挿管tubeもありますね。
この後、徐々にですが、状況の改善を得ております。
この症例は、RCA閉塞による虚血で、難治性のVF状態となりました。救命・改善出来たのは、
◎市民の方々・救急隊とbystander-CPRが継続されたこと。
◎LAD/LCX領域が、虚血を免れていたこと。
◎PCPSが搬入後速やかに成されたこと。
◎PCIが速やかに成功したこと(Door to balloon time=72分)
◎医療環境に恵まれた大都市での発症だったこと。
などがあります。
突然の心肺停止が、
☆大動脈解離・大動脈破裂だった場合
蘇生処置は無効。出血を増大させるだけ。
☆頭蓋内病変(SAH etc.)
蘇生できても、予後は very poorが一般的。
☆重度の肺塞栓
まず蘇生に反応しない。
☆特発性の心室細動
他の基礎疾患が無ければ、DC-shockに反応したはず。
難治性心室細動を呈し、一連の救急救命処置で復活したRCA-ACSの症例でした。
動画です。
(Cardio2012-ECG335-01-prePCI-RCA-valsalva shot)
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(Cardio2012-ECG335-02-prePCI-LCA)
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(Cardio2012-ECG335-03-prePCI-RCA)
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(Cardio2012-ECG335-05-post ThrombusterI-RCA)
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(Cardio2012-ECG335-07-post PCI/stent-RCA LAO )
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(Cardio2012-ECG335-08-post PCI/stent-RCA)
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