#blog-title{font-size:150%; }

Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-336:answer(3/3)

NSTE-ACSNSTEMI  

 

PCI後に記録した心エコー

 

(parasternal LV short axis)

[http://:title]

 

一見、正常な左室壁運動に見えてしまいます。しかし。。

 

X+1 day 朝の心電図上で、II, III, aVFで明らかな冠性T波の出現です。

 

入院時からPCI後までの心筋酵素の変動です。

f:id:heart2019:20190921120057j:plain

クリックすると、心電図が拡大します

f:id:heart2019:20190921120132j:plain

クリックすると、拡大します




◎心筋酵素が上昇し、下壁の心電図変化が出現したことを念頭に、もう一度左室短軸の壁運動を、見て下さい。

 

(parasternal LV short axis)

[http://:title]

7~10時方向(=下壁)の壁運動が低下しているのが分かります。前壁はその代償のためか、hyperkineticに見えます。

 

 

 

心尖部2腔像では、前壁と下壁を見ています。下壁の運動性低下が分かりますか?

 

( apical 2 chamber view )

[http:// :title]

 

傍胸骨左室長軸断層では、心室中隔と下側壁を見ています。回旋枝領域となり、壁運動は正常です。

( parasternal Long axis )

[http://:title]

 

 

 

もう一度、NSTE-ACSの心電図経時的な変化を見てみましょう。 

f:id:heart2019:20190921120528j:plain

クリックすると、心電図が拡大します

 

◎反復する胸部不快感を示した患者さんの(CRBBBを伴う)心電図解釈をどうするか?でした。

◎初回心電図でも、V3-5のST低下はCRBBBでは説明難しく、ACSを示唆するように見えます。

◎この時に、注意深く左室壁運動を観察すれば、下壁の運動障害に気付いたかもしれません。

◎翌日は、II, III, aVFでのST-T変化の増強と、心筋酵素の明らかな上昇があり、ACSは臨床的確定でした。

 

 GRACE-SCORE<140でもあり、(入院として)一晩経過観察したのは、正解でした。

 ERの段階ですぐに心カテに持ち込んだかは、いろいろ議論になりそうです。ボーダーライン症例でした。