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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-353:answer = 心電図検定試験:傾向と対策 Q.001 =

AVNRTの典型例でした=

 

AVNRT:房室結節回帰性頻拍

atrioventricularnodalreentrant tachycardia) 

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=上級編解説(のつもり)

この図のみで納得される方は、上級だと思います。

(実力心電図)本 クリアされていますね。

 

 

なお、AVRTAVNRTの鑑別は、本当は難しいです。以下に、よい解説があります。(難しいと云うことが分かる)

https://intmed.exblog.jp/7708466/

 

なお、房室結節部に近い場所のケント束でも、同様の事が起きえるので、AVRT vs AVNRT との設問は無理筋です。

 

 

 

=中級編解説(のつもり)

 

*ラッキーな症例です。

*逆行性のP波 (pseudo-s, pneudo-r')が明瞭です。

*心房に興奮が戻る時間が短いので、QRS直後に認めます。

*slow-fast reentryの場合です。

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赤矢印(↑)が、pseudo-s(シュードエス)

緑矢印(↓)が、psuedo-r(シュードアール)

 

 

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 拡大してみました。

房室結節部分から上方の心房に、逆行性P’は流れるので、下壁誘導( II, III, aVF では陰性P'(=psuedo-s)波を記録します。 

なお、V1には向かっていく興奮のため、陽性P’(=pseudo-r’)を記録します。

 

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こんな風にAVNRT→NSRへの連続波形で、pseudo-s(r)が消失してくれると、納得ですね。

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この症例は、30年前にVVI-Pacemakerが入っておりました。当時は、完全房室ブロックでも取り敢えずVVIでいいや、との考え方も一部有ったんです。(生存が保証されるから、シンプルな方が良い・・てな考え方でした)

 

ATPの急速静注で、頻拍発作を止めています。3~6秒程度の心静止が起きるのは、この場合普通なんですが、心室ペーシングが作動しています。

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連続ではありませんが、で囲んだ洞調律時のQRS波形で逆行性のP’波(pseudo-s, pseudo-r’)が無くなっているのが分かります。

 

上室性の頻脈発作での、目の付け所👀を解説しました。

 

 

同様の問題を、jasmineさんが最近webにUpされています。

こちらは、ちょっと難しいですよ。

 

http://shindenzunoheya.blog.jp/archives/22330454.html

 

 

 

=初級編解説(のつもり)

 

頻脈発作を見たら、

 

Narrow QRS tachycardia (QRS幅が120ms未満の頻拍)

 

Wide QRS tachycardia  (QRS幅が120ms以上の頻拍)

 

どちらなのかを、確認しましょう。

 

 

えっ、頻拍の定義ですか?

漠然としておりますが、村川裕二先生風に云いますと、

 

「頻拍とは、あなたが耐えられない心拍数です。」

 

100/分以上が、常識的でしょう。

 

Narrow QRS tachycardiaの鑑別は、

 

*洞性頻拍

*頻脈性の心房細動

*2:1伝導の心房粗動

*AVNRT(房室結節回帰性頻拍)

*AVRT(房室回帰性頻拍)

 

*(稀に、心室中隔由来のVT)

 

これ以上は、(今回)追求しません。

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AVNRTが発生する理由を説明下した解剖図です。 

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多くの知識が、実は必要です。

*洞結節

*房室結節

*速伝導路 (そくでんどうろ)

*遅伝導路 (ちでんどうろ)

*リエントリー

*上室性期外収縮(SVPC)

 

今回は、房室結節とその周囲でリエントリーが起きると理解して下さい。リエントリーとは、グルグル回ることです。

 

https://www.kango-roo.com/sn/k/view/2215

 

(看護roo!)のwebsiteは、いつもわかりやすく・素敵なイラストで解説があります。リエントリーの解説はココです。

 

AVNRTとAVRTを、上室性頻拍(PSVT)発生中にしっかりと鑑別するのは、難しいんです。考えすぎないようにしましょう。

 

なお、遅伝導路は正常洞調律時は、常にブロックされています。

 

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房室結節(とその周囲の)リエントリー回路が回るときに、心房内を下部→上部に向かって心房内興奮が伝わります。

よって逆行性P波は、

*下壁誘導で陰性P’。

*V1では陽性のP’。

となります。

 

 

なお頻拍発作発生時は、Before(頻拍発作中)after(洞調律復帰後)の比較が大切です。必ず記録して下さい。

でも、心電図検定試験は1枚の心電図で勝負です。よって、典型例のPSVTしか出せないはずです。これは、典型例です。

 

私が問題を作るとしたら・・・ 

 

 

 

90才男性が動悸で来院。

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次の選択枝で、誤っているものを選べ。

 

a.) 房室結節回帰性頻拍

b.) 房室回帰性頻拍a

c.) 心房細動

d.) 上室性頻拍

e.) リエントリー性の頻拍

 

間違いは、当然 c.) ですけど。

 

 

 

 

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