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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-360:answer その3 = 心電図検定試験:傾向と対策 Q.008 =

下壁梗塞の心電図シリーズの最後です。

 

(胸部不快感で早朝受診時の心電図) 

 

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クリックすると、心電図が拡大します

RCA #2 の病変でのACSです。

II, III, aVFでのわずかなST上昇を感じ取ってください。ミラーイメージのaVLでのST低下の存在で、ACSほぼ確定です。

 

 

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#2のACSです。

もっと顕著な心電図変化が起きそうですが、よく見ると4AVが殆ど無く、4PD領域のみのようです。これが理由でしょうか。

ACSを強く疑う胸部不快発作では、この程度の変化に反応してください。以前の心電図との比較も大切ですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(胸部不快感でERの心電図)

 

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この症例も#2のACSです。

支配領域は大きくなく、心電図変化は軽度ですが、aVLでのミラーイメージあり、下壁のACSと判定してください。

 

 

 

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Cabrera配列にすると、II→aVF→III誘導と、連続したST上昇を示しているのが分かります。

 

この症例の経時的な心電図変化です。 

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なお、aVLでのST低下はPCI後の6時間後には消失しました。亜急性のACS判定には、あんまり有用ではないことも知っててください。(よって、心電図検定試験に亜急性期は出ないのでは)

 

さあ、この程度の心電図変化でも、ACSを強く疑えるようになりましたか?

 

 

 

 

 

 

RCAの#1~#3は、左室を潅流する4PD,4AVへの導管です。

左室の障害は、#1~#3ど娘で閉塞しても同じです。

#1の閉塞は、右室梗塞の発生を起こす可能性を持ちます。(臨床的に困る右室梗塞を、必ず起こすわけではない)

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RCAの4AV,4PD領域は、LCXの#14,15と重なりを持つ部分です。症例事に、解剖学的な支配領域が異なります。心電図波形のみで、下壁・後壁・側壁のACSRCA/LCXのどっちが責任病変か、判別はそう楽じゃない。

 

心電図検定試験レベルで、その鑑別(RCA or LCXのACS)が要求できるのは、

 

*右室梗塞の合併の証明で、RCA-ACS

 

くらいです。右室の潅流は、RCAじゃないと出来ませんから。

 

 

 

多くのACS-PCIを経験すると、この表は納得出来るのですが、

覚えても、感度も特異度も低いんです。

 

 

 

【 aVLでのミラーイメージの存在で、RCA-ACSかを判断する。 】

 

【 伝導障害合併は、RCA-ACSを示唆します 】 

 

 

最後の心電図です。

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クリックすると、心電図が拡大します

 

 

 

 

如何ですか?

60才男性で、COPDです。

 

V1-3のQS-patternは、psuedo-MI patternです。COPDで横隔膜が下がり、心臓自体が誘導部分より下がって、QS patternとなります。1or 2肋間下げてもう一回胸部誘導を記録します。

 

電磁軸が真下を向いているので、I 誘導は超低電位です。

 

問題のII, III, aVFです。

なんかSTが上昇しているように見えませんか?心電図変化の少ない下壁梗塞で苦い経験をすると、気になりますね。

羮(アツモノ)に懲りて膾(ナマス)を吹く

この症例では、aVLでのST低下(=しつこいけど、ミラーイメージ)。心筋酵素の上昇も無く、心エコーでの壁運動障害もありません。Normal varientです。

 

aVLのミラーイメージのない下壁梗塞は、試験問題に出してはいけない!まあ、私の意見ですけど。

 

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