#blog-title{font-size:150%; }

Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-365:Wide QRS tachycardiaに慣れましょう! その2= 心電図検定試験:傾向と対策 Q.012=

 

Q-04:60才代の男性。動悸です。 

f:id:heart2019:20200302234016j:plain

クリックすると、心電図が拡大します

 

        ↓

        ↓

        ↓

        ↓

        ↓

もともと肥大型心筋症があり、肺がん術中にCPA・LAD-ACSとなった患者さんです。その三ヶ月後の敗血症状態での頻拍発作でした。

 

*wide QRS =0.157sec.

*上方軸(II,III,aVFで陰性QRS)

*RBBBパターン(胸部誘導)

*V6で、r<<<Sパターン

 

VTと考えるのが、妥当だと思います。

私には、(この症例での)房室解離は見えません。断定的にいえる症例はVTの1割もないそうです。自院で経験したら、大切に心電図を保存されて下さい。四つ葉のクローバーみたいなもんですから。

 

 

 

 

 

Q-0560才代の男性。動悸です。

f:id:heart2019:20200302234714j:plain

クリックすると、心電図が拡大します

f:id:heart2019:20200302234802j:plain

クリックすると、心電図が拡大します

        ↓

        ↓

        ↓

        ↓

        ↓

non-sustained VTでした。

 

*下方軸です。(II,III,aVFのQRS波形が陽性)

*LBBBパターンです。

*洞調律時と明らかに波形が違います。

*R on Tで始まっています。

 

non-sustained VT:心室拍数100 ~ 120/ 分以上の心室期外収縮の 3 連発以上または 30 秒以上連続しない心室期外収縮の連発のことです.

とはいえ、幅広い守備範囲なので、3~5連発のVTはshort runと便宜的に云われます。だったら、6連発はnon-sustained VTと云わないとダメか・・とまで考え込まないで下さい。

 

 

 

*この症例で、房室解離があるような、ないような。。

f:id:heart2019:20200302235156j:plain

クリックすると、心電図が拡大します

*PP間隔の反復で、VT内のP波を見出すのですが、なかなか自信が持てません。これがあるとVTの確定診断と云われるのですが。

*このようなデリケートな診断は、

小さな心電図ではできない!ハズキルーペは試験会場の持ち込めるのか!?

 

 

 

以下は、#心電図検定試験から逸脱すると思いますが。。

 

*残る鑑別は、

    1.)PSVTで著明な変更伝導を伴う症例 

    2.)短いPafで、著明な変行伝導を伴っている症例

 になるはずです。

 

1.) P`からの頻拍開始では無く、考えにくい。

2.)VTもリエントリー開始読後は、RR間隔やや揺らぎます。でも、Pafの完全否定は難しいですね。

  

 

 

 

 

 

 

Q-06:2枚の頻脈時の心電図です。

    正しい回答を一つ選択せよ。

 

A.) 流出路起源心室性頻拍

B.) 偽性心室頻拍

C.) 1:1伝導性心房粗動

D.) Torsades de Pointes

E.) 洞性頻脈

f:id:heart2019:20200302235535j:plain

クリックすると、心電図が拡大します

f:id:heart2019:20200302235609j:plain

クリックすると、心電図が拡大します

        ↓

        ↓

        ↓

        ↓

        ↓

 

 

VTの典型例です。wide QRS tachycardiaで、

 

 

下方軸を示す。II,III,aVFでwideで高いR波です。

LBBBパターンです。

 

流出路起源の心室頻拍です。

(OT-VT : outflow tract ventricular tachycardia)

 

ここまでは、どの本にの書いてある内容です。

とにかく、下方軸+LBBBパターンは、流出路起源心室頻拍です。覚えてしまいましょう。

 

この心電図の出典は、LIFE IN THE FASTLANEです。

 

https://litfl.com/right-ventricular-outflow-tract-rvot-tachycardia/

 

f:id:heart2019:20200302235811j:plain

クリックすると、拡大します

 

 

私が混乱していたのは、I誘導の電気軸の問題です。

なんで、上向いたり・下向いたりするのか?? 

f:id:heart2019:20200302235914j:plain

クリックすると、心電図が拡大します

 

右室流出路だけでも、前壁側・中隔側と起源がいくつかあります。

これに、左室流出路起源・大動脈弁冠尖起源・心外膜側起源まであります。

まとめて、12誘導心電図上はOT-VTです。

 

じゃあI誘導において、右室起源が陽性波左室起源が陰性波と云えるのか?残念ながら、特異度が低いようです。

右室流出路起源のVTでも、I誘導のQRSは、陽性だったり陰性だったりします。

鑑別の方法はあるようですが、感度/特異度低すぎます。私は、とっても覚えられません。。

OT-VTの起源の鑑別は、アブレーターの先生方にお任せしましょう。

f:id:heart2019:20200303000003j:plain

クリックすると、心電図が拡大します

 

 

流出路起源のVTは、こう覚えて下さい。

 

wide QRS tachycardiaは、

 

*下方軸+LBBBパターンは、流出路起源心室頻拍です。

*I誘導のQRSの電気軸は、あんまり気にしない。

 

これで、心電図検定試験は大丈夫なハズです。

 

 

 

 

(試験から外れるTips)

胸部誘導でのPositive Concordanceを示すVTは、僧帽弁輪部(後壁側)由来のようです。BMJより。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1122646/

 

 

 

 

 

 

選択枝の解説です。

 

 

A.) 流出路起源心室性頻拍 でした。

→説明は上記の如し。

 

 

 

B.) 偽性心室頻拍 ではない。

WPW症候群における心房細動発作時の波形です。

 *心房細動なのでRRは絶対性不整

 *ケント束の伝導比率の違いで、QRS波形が心拍毎に異なる。

 *この二点に気が付けば、大丈夫です。 

f:id:heart2019:20200303000116j:plain

クリックすると、心電図が拡大します

 

 

 

 

C.) 1:1伝導性心房粗動 ではない。

→1:1ならば、心拍数は250~300bpmとなります。

 *実例はこちらです。 

f:id:heart2019:20200303000140j:plain

クリックすると、心電図が拡大します

 

 

D.) Torsades de Pointes ではない。

→これは、捻れVTなんです。 

f:id:heart2019:20200303000206j:plain

クリックすると、心電図が拡大します

 

 

QT延長症候群とペアで覚えましょう。

 ACSでも、見ることありますけど。(この症例は、ACSです)

 

 

E.) 洞性頻脈 ではない。

→P波見えない。(I度-房室ブロックで、先行するQRSにP波が隠れることはあります。)

→そもそも、変行伝導でもこのQRS波形は説明できません。

 

 

******************************** 

佐々木達哉先生との共著が、2019/1/23に発刊されました。

医事新報社からです。

循環器版の(思考のレッスン)です。

村川裕二先生から、素敵な(推薦の辞)を頂きました。

まずは、立ち読みして下さい。私が援護射撃した佐々木ワールドが満開です。

 

https://www.amazon.co.jp/レジデントのための循環器教室%E3%80%88症例で学ぶ循環器診療のリアル〉-佐々木-達哉/dp/4784948759/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=カタカナ&keywords=佐々木達哉&qid=1577794530&sr=8-1

 

 

f:id:heart2019:20191229192555j:plain


 

 

pastedGraphic.png

.

 

【(上級医がやっている)危ない心電図の見分け方】 Amazon

 

 

【(上級医がやっている)危ない心電図の見分け方】 医事新報社

.

医学電子書籍(M2PLUS)の導入方法は、こちら。

.

M2PLUSのwebsiteは、こちら。