まず回答です。
ペーシング不全 です。 Pacing Failure
順次、ご説明します。
(PMIの理由となった心電図)
洞機能不全症候群(SSS)ですね。
3秒近い心停止が頻回に発生しています。症状もあり、絶対的PM植込み適応でした。
VVIが選択されています。ここは、突っ込まないで。。
VVI-ペーシングです。
▲は自発波形で、センシングがきちんとされています。
↑は誘導波形(fusion beat)です。
ところが、ペーシング不全(pacing failure)が発生しました。
この心電図では、全てのペーシングが無効となっています。
しかし、センシングは良好です。
No3.では、無効ペーシング直後に自発波形のQRSが出ています。この部分は、blanking period(ペーシングによるQRSを感知しないために、センシング機能がoffとなる期間のこと)です。
なお、このようなペーシング不全が起きたのは、「いつのまにか心筋梗塞」が発生して、心尖部に小さめの心室瘤が出来ていた為でした。
リードの脱落・位置異常はレントゲン上ありません。
心尖部リードを除去して、心室中隔に付け直しました。
心尖部リードでのペーシングでは、胸部誘導がQSパターンとなっています。
中隔ペーシングでは、V5,6はR波となっています。
ペーシング波形小さいので、気を付けて下さい、よく見落とします。
なお、心尖部ペーシングでもV5,6がR波になることあるので、(ペーシング部位の)鑑別に使うことは、無理だと思います。
Twitter 140字まとめは、
*ペーシング不全とセンシング不全を、きちんと鑑別する。
*ペーシング波形後に、QRSが発生しないのを確認する。
*Blanking periodを理解しておく。
********************************
佐々木達哉先生との共著が、2020/1/23に発刊されました。
医事新報社からです。
循環器版の(思考のレッスン)です。
村川裕二先生から、素敵な(推薦の辞)を頂きました。
まずは、立ち読みして下さい。私が援護射撃した佐々木ワールドが満開です。
.
【(上級医がやっている)危ない心電図の見分け方】 Amazon】
【(上級医がやっている)危ない心電図の見分け方】 医事新報社】
.
.