バイタル逆転のwide QRS tachycardiaを目の前して、房室解離を判定出来るのは、修羅場をかなりくぐってきた不整脈専門医の方々です。私には、難しいです(-_-;*)。
心電図記録後に、すぐに手に入った臨床情報です。
数時間続く胸部不快感が数回あった。
もともと、下後壁の壁運動が低下していた。
II, III, aVFが、ほぼQS patternであった。
V5,6にもabnormal Q waveが存在する。
下側壁の梗塞を示す(洞調律時の)心電図です。
VT時も、II,III,aVFでもQ波があるようです。
陳旧性心筋梗塞のWQRSTは、VTとして扱う!
なので、あんまり悩まないで下さい。
ショックバイタルなので、DCが施行されています。
VTの12誘導心電図でどこがQRSか、悩んだことありませんか?
良くある事です。
出来れば、12誘導を縦に並べた表示を行い、一番QRSがハッキリしている部分(幅)に併せて考えましょう。
なお、VTは電気的興奮が波紋のように拡がります(=高速な刺激伝導系を介さない)。誘導毎のQRSの時相は揺らぎを含みます。(厳密に考えすぎない)
このwide QRS tachycardiaが、VTである所見を示します。
New algorithm using only lead aVR for differential diagnosis of wide QRS complex tachycardia.
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1547527107009435
Vereckei先生のaVRでのVT診断アルゴリズムです。
難しいとこを、むちゃ簡素化すると、
(WQRSTで、aVRで緩やかな陽性のR波のみだとVTです)
となります。
北西軸は、VTです。
I誘導とaVFの両方で、陰性のQRSです。電気軸は北西軸となります。脚ブロック/変行伝導による頻脈発作では、このような電気軸を取り得ません。VTを強く示唆します。
基礎疾患によっては、CRBBBでもけっこう大きなS波が出現します。それにPSVTが加わるとVTっぽくみえます。
これだけ r<<<S at V6 だと、VTしか考えられませんね。
一番頼りにされているVT診断アルゴリズムは、Brudaga三兄弟のアルゴリズムです。
ERで目の前にWQRSTの心電図おいて、これを見てもきっと判断出来ません。
練習問題で、乱取りを重ねて下さい。
(LIFE IN THE FASTLANEより)
https://litfl.com/vt-versus-svt-ecg-library/
(私のブログから)
https://heart2019ecg.hatenablog.com/entry/2020/02/29/004433
https://heart2019ecg.hatenablog.com/entry/2020/03/03/000353
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佐々木達哉先生との共著が、2020/1/23に発刊されました。
医事新報社からです。
循環器版の(思考のレッスン)です。
村川裕二先生から、素敵な(推薦の辞)を頂きました。
まずは、立ち読みして下さい。私が援護射撃した佐々木ワールドが満開です。
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