*正解は、
Case-D). Brugada症候群
でした。
典型的 Coved 型の心電図でした。(V1,2)
右室壁内の活動電位の差(内膜側↔外膜側)が原因とされます。
https://www.emalliance.org/education/ecg/kaisetsu35
発熱・満腹は、Coved型の誘発因子とされています。
この方は、80才代まで動悸・失神・black out等は経験されていないBrugada-surviverです。
心電図検定試験 Q-4 answer-03
Brugada症候群では、type-I (Coved型)が最大の危険因子です。とにかくこの波形を見つけたら、不整脈専門医にバトンタッチして下さい。II,III型でも、失神・VFを示唆する症状があれば、同じです。
心電図検定試験 Q-4 answer-04
ブルガダ三兄弟は、ブルガダ症候群以外にも、一番有名な心室頻拍診断のアルゴリズムを作っています。
#心電図検定試験 Q-4 answer-05
次は、Case-Cです。
たこつぼ心筋症です。
(たこつぼ)と云えば、巨大陰性T波ですね。
Giant negative T wave (GNT)
この波形から、(たこつぼ)じゃないの?と思います。
これは、亜急性期の所見です。
#心電図検定試験 Q-4 answer-06
(研修医)でも、ERの心電図はGNTが多いですよね?
発症前に(たこつぼ心筋症)が発生していることも多い。
自覚症状出現=(たこつぼ心筋症)とは、限らない。
ST上昇が、超急性期の(たこつぼ心筋症)の心電図所見となる。超急性期をcatch upできれば、ですが。
#心電図検定試験 Q-4 answer-07
(研修医)これでACSを鑑別に挙げなければ、ひんしゅくモンですよね。
まず、ACSを否定すべきです。CAGの施行もありです。
(ACSとたこつぼ心筋症は)#7の閉塞でLADが心尖部を巻いていると、心エコーでの鑑別も難しい@心電図診断の極意:小菅雅美Dr. p-90。
これを前提に、(たこつぼ心筋症)の超急性期心電図所見を考えます。
心電図検定試験 Q-4 answer-08
(研修医)V1のST-T変化がポイントですか?
(超急性期において)
*V1で明らかにST上昇あれば、(たこつぼ心筋症)は、ほぼ否定される。
*V2-6でST上昇があり、かつV1でST-T変化が無いと、(たこつぼ心筋症)の可能性が高まるが、確定ではない。
前壁のACS(STEMI)か!と考えたら、(たこつぼ心筋症)との鑑別に留意します。
心電図検定試験 Q-4 answer-09
LVGからわかるように、apical ballooningの(たこつぼ心筋症)では、心尖部主体の広範な心室瘤(=たこつぼ)が生じます。でも、心基部であり、且つ右室誘導であるV1では心電図変化は発生しにくいんです。
しかし、V1はもともと1.0~2.0mm(0.1~0.2mV)ほど緩やかにST上昇をもつ場合もあり、あんまり厳密に考えると、悩ましくなります。ほどほどの感覚があると、良いかも。
心電図検定試験 Q-4 answer-10
Case-Aの解説です。
ERで研修医達は、大慌てでした。
*わー、VTだ。
*いや違う、pseudo-VT(WPW)だ。
*よく見ろ、広範なSTEMIだ。LMT病変だ。
*でも、aVRでST低下だよ。おかしくない??
心電図検定試験 Q-4 answer-11
ここで、冷静に「フッ、これはタコツボさ。見ればわかるだろう。」なんて、格好つける余裕はありません。
緊急心カテでは、coronaryはintactでした。
-aVRは、電気軸+30°です。(マイナスaVR と読む)
当然、ST上昇領域です。
そのミラーイメージで、aVRのみST低下を示します。
心電図検定試験 Q-4 answer-12
心電図の経時的変化です。
胸部誘導のST上昇は速やかに改善し、陰性T波に移行しました。
心電図は、たこつぼ心筋症の感受性の高い気付きです。
と云うか、無いとそもそも気付けない。。
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佐々木達哉先生との共著が、2020/1/23に発刊されました。
医事新報社からです。
循環器版の(思考のレッスン)です。
村川裕二先生から、素敵な(推薦の辞)を頂きました。
まずは、立ち読みして下さい。私が援護射撃した佐々木ワールドが満開です。
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