80才代女性の、胸部不快感でのER受診です.
初見で、ぱっと気づかないと、なかなか分からないもんです.
【 胸痛で、よくわかんない(・_・?)心電図は、回旋枝の病変を疑う! 】
この経験則に従って、もう一度心電図を見てみましょう。
14分後の再検の心電図です。ST-T変化がチョット強くなっています。
V5,6のST上昇は分かりますね。この部分しかST上昇がないのが、大切な気付きとなります。
その他は、その気になって見てみると
○V1でST低下がある。V1は右室前面誘導で、後壁のミラーイメージを示します。
○I誘導とaVL誘導でのST上昇。
胸部不快感の患者の12誘導心電図は、その気になって見てみるのがポイントですよ。
心エコーとの対比で、この所見の意味を理解しましょう。
(左室長軸断層像)
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いわゆる(後壁)の壁運動低下が分かります、よね?
(左室短軸像:検索レベル)
[http://:title]
左室短軸・検索レベル(base寄り)です。4-6-8時方向の収縮性が悪いのが分かります。但し、4時に近いと正常可動域に近く長軸で断層を作ると微妙になります。
(心尖部2腔像)
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短軸で見た6時方向になります。下後壁の壁運動がsevere hypo~noneであるのが分かります。
(後壁と云う用語を、あえて使っております)
緊急のPCIが施行されました。
回旋枝(LCX)の#11の完全閉塞でした。
PCI(stent留置)で、完全血行再建に成功しております。
経時的心電図変化です。
*V5のST上昇は消え、V6のT波陰転化しております。
*V1-3のT波が高い陽性波です。後壁の冠性T波のミラーイメージでしょう。
*I誘導とaVL誘導でのST上昇は無くなり、T波平定化しています。(ちょっと後半陰転化か)
*III誘導にちょっとQ波出現。梗塞巣に一番近い下壁誘導です。
この症例は、V6でST上昇が明瞭だったので、ちょっと慣れると見逃しません。でも、搬入時のV5程度のST上昇で、ACSと判断しないといけない症例が、よくあります。
頼みの綱は、心エコーです。
必ず、(parasternalの)長軸・短軸の両方で判断して下さい。
A2Cの画像が作れると最高です。これは、左室造影のRAO viewに相当します。(最近はLVGあんまりしないので、よくわかんないかも(・_・?)(・_・?))。
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医事新報社からです。重版されました。
循環器版の(思考のレッスン)です。
村川裕二先生から、素敵な(推薦の辞)を頂きました。
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