#心電図検定試験 Q-10 answer-01
正解は(=Mobitz II 型 AV block)は、
Case-A
でした。
まずこれを解説してみます。
*Wenckebach AV blockは、PQ間隔が徐々に延びて、ついに房室伝導が途切れて再度もとに戻る。
*Mobitz II AV blockは、PQ間隔が変化せず(=延長せず)いきなり房室伝導が途切れる。
こう理解するのが基本ですね。でも、これだけだと出題者の意地悪に翻弄されます。
*Wenckebach AV blockは、別に論じますのでパスします。
*Mobitz AV blockは、2:1ブロックと思っていませんか?
2:1ブロックは、
*房室結節レベル伝導障害でも、
*ヒス束レベルでも、
生じます。
つまり、
*Wenckebach AV blockでもあり。
*Mobitz II 型の房室ブロックでもあり。
なんです。
だから、2:1ブロックと現在は呼ばれています。
確かに、Mobitz II 型の房室ブロックのことが多いんですけど。。
Case-A の胸部誘導
Mobitz II AV blockです。
この心電図をそう言い切るために、長めの心電図記録です。
2:1の房室ブロックが改善した部分で、PR時間の延長がありません。これにより、Mobitz II AV blockとしております。
(特殊例でAH blockでもあり得るようですが、rare rareのはず)
Case-A の四肢誘導
▲青三角が房室伝導あり。
▲緑三角が房室伝導が切断されている。
最後の5心拍は房室伝導が繋がり、PR正常範囲内でその延長もありません。
Case-B は、心房粗動:Atrial Flutter(AFL)でした.
*aVFの誘導で、flutter波を示しました.
*グルグル回るAFLでは、下壁誘導で基線が常にノコギリ波となります。(安定しない)
*150bpmの頻拍は、心房粗動じゃ無いのか?から疑って下さい。
*Mobitz II AV blockで、そもそもこんな頻脈は少ないはず。
心房粗動で、2:1伝導が4:1伝導となる瞬間を、うまく12誘導心電図で捕まえることがあります。(できない方が多いですけど)
そこを見ると、ノコギリ波がよく分かります。
なお、胸部誘導では基線がflatな部分あります。ノコギリ波は、下壁誘導で評価です。
ノコギリ波が、陽性か・陰性かは気にしない。こんなこと聞いてくるのは、きっとマイスターのみ。
Case-C Wenckebach AV block with SVPC
*PQ間隔が次第に延長しています。ところが、QRSが脱落するところが、SVPCとなっています。ちょっと変わったパターンです。
*よって、PP間隔が一定の場合に本当にここで脱落したかは不明です。
〇少なくとも、Mobitz II AV blockではありません。
Case-D :CAVB (complete AV block)
ぱっと見で、2:1房室ブロックに見えます。
検定試験中に多くの問題を解く時は、それを選んじゃいそうです。そこがトラップなんです。
よく見るとPP間隔・RR間隔は整で、PR間隔はバラバラです。
P波がT波の頂点に重なった部分もあり、騙されてしまいます。
CAVBは、じっくりと見ないとWenckebach/Mobitz AV blockと勘違いすることがあります。
この問題は、出題者(=私)の意地悪さを感じさせます。
MObitz-II型の房室ブロックを心電図検定試験に出すのは、けっこう大変だね、と今回も問題作成で思いました。
以上は、6月頃にtweetした内容でした。