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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-385: answer #心電図検定試験-Question-10  Mobitz II AV blockはどれでしょう

#心電図検定試験 Q-10  answer-01

 

正解は(=Mobitz II 型 AV block)は、

 

Case-A

 

でした。

 

まずこれを解説してみます。

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*Wenckebach AV blockは、PQ間隔が徐々に延びて、ついに房室伝導が途切れて再度もとに戻る。

 

*Mobitz II AV blockは、PQ間隔が変化せず(=延長せず)いきなり房室伝導が途切れる。

 

こう理解するのが基本ですね。でも、これだけだと出題者の意地悪に翻弄されます。

 

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*Wenckebach AV blockは、別に論じますのでパスします。

 

*Mobitz AV blockは、2:1ブロックと思っていませんか?

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2:1ブロックは、

*房室結節レベル伝導障害でも、

*ヒス束レベルでも、

生じます。

 

つまり、

*Wenckebach AV blockでもあり。

*Mobitz II 型の房室ブロックでもあり。

なんです。

 

だから、2:1ブロックと現在は呼ばれています。

 

確かに、Mobitz II 型の房室ブロックのことが多いんですけど。。

 

Case-A の胸部誘導

 

Mobitz II AV blockです。

この心電図をそう言い切るために、長めの心電図記録です。

2:1の房室ブロックが改善した部分で、PR時間の延長がありません。これにより、Mobitz II AV blockとしております。

(特殊例でAH blockでもあり得るようですが、rare rareのはず)

 

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Case-A の四肢誘導

 

青三角が房室伝導あり。

緑三角が房室伝導が切断されている。

 

最後の5心拍は房室伝導が繋がり、PR正常範囲内でその延長もありません。

 

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Case-B は、心房粗動:Atrial Flutter(AFL)でした.

 

*aVFの誘導で、flutter波を示しました.

*グルグル回るAFLでは、下壁誘導で基線が常にノコギリ波となります。(安定しない)

*150bpmの頻拍は、心房粗動じゃ無いのか?から疑って下さい。

*Mobitz II AV blockで、そもそもこんな頻脈は少ないはず。

 

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心房粗動で、2:1伝導が4:1伝導となる瞬間を、うまく12誘導心電図で捕まえることがあります。(できない方が多いですけど)

そこを見ると、ノコギリ波がよく分かります。

なお、胸部誘導では基線がflatな部分あります。ノコギリ波は、下壁誘導で評価です。

 

ノコギリ波が、陽性か・陰性かは気にしない。こんなこと聞いてくるのは、きっとマイスターのみ。

 

 

Case-C  Wenckebach AV block  with SVPC

 

*PQ間隔が次第に延長しています。ところが、QRSが脱落するところが、SVPCとなっています。ちょっと変わったパターンです。

*よって、PP間隔が一定の場合に本当にここで脱落したかは不明です。

〇少なくとも、Mobitz II AV blockではありません。

 

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Case-D :CAVB (complete AV block)

 

ぱっと見で、2:1房室ブロックに見えます。

検定試験中に多くの問題を解く時は、それを選んじゃいそうです。そこがトラップなんです。

 

よく見るとPP間隔・RR間隔は整で、PR間隔はバラバラです。

P波がT波の頂点に重なった部分もあり、騙されてしまいます。

CAVBは、じっくりと見ないとWenckebach/Mobitz AV blockと勘違いすることがあります。

この問題は、出題者(=私)の意地悪さを感じさせます。

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MObitz-II型の房室ブロックを心電図検定試験に出すのは、けっこう大変だね、と今回も問題作成で思いました。

 

以上は、6月頃にtweetした内容でした。