突然起きた胸部不快感と呼吸苦で、ER搬入でした。
正解は、ACS #7でした。(たこつぼも捨てきれませんが💦)
ER心電図を解析しましょう。
*洞調律です。
*広汎な誘導でのST上昇があります。(aVRでST低下)
*aVRではST低下
*V1-4のQS pattern
この症例は、ACS-STEMI-#7(LAD)閉塞で、D1を巻き込んでいました。
では、四つの選択肢から、否定的な方から除外してみましょう。
【高カリウム血症は、考えにくい】
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高カリウム血症の心電図変化が、納得出来るアニメーションです!
ここでは、血清カリウム値の変化と心電図変化が、並行するように描かれていますが、実際は、個々の症例で心電図変化が起きる域値が異なります。
そして、いったん変化が始まると、急速に心停止へ向かうので要注意です!
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翻訳せずに動画を見ているだけでも、高カリウム血症の心電図変化への学びが沢山ありますね。
この症例に戻ります。
*Peaked T wave(尖りT波)になっていない。
*P波がまだ元気。
*QRS幅の延長を認めていない。
なお、ST上昇を示す高カリウム血症心電図もありますが、やっぱりT波は尖っているものなんですね。
【急性心外膜炎は、考えにくい】
*確かに、広範囲なST上昇をpericarditisでは示します。意外に高いST上昇を示すこともある。
*でも、これはさすがに高すぎます。劇症心筋炎ならあるかもしれないけど。
*ミラーイメージがない部分は、合致しますけど。。
*心筋炎に特徴的なPR低下がありません。(6割で陽性)
*Spordick signもないですね。(30%くらいのみ陽性)
*そもそも異常Q波がpericarditisでは、出ませんよね。
https://litfl.com/spodick-sign/
やっぱり残るのは、
(この場合のたこつぼ心筋症は、apical ballooning型です)
【注意】ERでは、どちらの結果になるにしても、すぐに心カテ室に運び、ACSの除外 or 治療のルートに載せるのが、鉄則です。それが転院を必要とすることになってもです。
後半に続きます。