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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

【ECG-400】answer(1/2)

突然起きた胸部不快感と呼吸苦で、ER搬入でした。

 

正解は、ACS #7でした。(たこつぼも捨てきれませんが💦)

 

ER心電図を解析しましょう。

 

*洞調律です。

*広汎な誘導でのST上昇があります。(aVRでST低下)

*aVRではST低下

*V1-4のQS pattern

 

この症例は、ACS-STEMI-#7(LAD)閉塞で、D1を巻き込んでいました。 

では、四つの選択肢から、否定的な方から除外してみましょう。

 

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クリックすると、心電図が拡大します

 

 

【高カリウム血症は、考えにくい】

 

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カリウム血症の心電図変化が、納得出来るアニメーションです!

ここでは、血清カリウム値の変化と心電図変化が、並行するように描かれていますが、実際は、個々の症例で心電図変化が起きる域値が異なります。

そして、いったん変化が始まると、急速に心停止へ向かうので要注意です!

 

 

 

 

[http://:title]

 

翻訳せずに動画を見ているだけでも、高カリウム血症の心電図変化への学びが沢山ありますね。

 

この症例に戻ります。

f:id:heart2019:20210606184944j:plain

クリックすると、心電図が拡大します

*Peaked T wave(尖りT波)になっていない。

*P波がまだ元気。

*QRS幅の延長を認めていない。

 

なお、ST上昇を示す高カリウム血症心電図もありますが、やっぱりT波は尖っているものなんですね。

 

 

【急性心外膜炎は、考えにくい】

 

*確かに、広範囲なST上昇をpericarditisでは示します。意外に高いST上昇を示すこともある。

*でも、これはさすがに高すぎます。劇症心筋炎ならあるかもしれないけど。

*ミラーイメージがない部分は、合致しますけど。。

*心筋炎に特徴的なPR低下がありません。(6割で陽性)

*Spordick signもないですね。(30%くらいのみ陽性)

*そもそも異常Q波がpericarditisでは、出ませんよね。

 

https://litfl.com/spodick-sign/

 

 

やっぱり残るのは、

 

たこつぼ心筋症 vs 前下行枝のACS となります。

 

(この場合のたこつぼ心筋症は、apical ballooning型です)

 

【注意】ERでは、どちらの結果になるにしても、すぐに心カテ室に運び、ACSの除外 or 治療のルートに載せるのが、鉄則です。それが転院を必要とすることになってもです。

 

 

後半に続きます。