突然起きた胸部不快感と呼吸苦で、ER搬入でした。
ACS責任病変は、まさかのLAD-#8でした!
後で考えると、それを説明出来る(であろう)ER心電図でした。
(正直、私にはカテしてびっくり、そこかよ!閉塞部位は・・でした(>_<))
では順を追って、(後付けの)心電図解釈を述べますね。
香坂俊先生が新著(もしも心電図で循環器を語るなら 第2版)で仰有っているように、
II,III,aVFでのST上昇は、下壁のACS
V6,I誘導でのST上昇は、側壁のACS
V1-5でのST上昇は、前壁のACS
と、割り切ってシンプルに考えるのが基本ですね。
(最初から、グチャグチャした思考に陥らないこと!)
では、この症例の心電図を解析しましょう。
II,III,aVFでST上昇を示しています。
→下壁梗塞のはずです。
aVLでST低下しています。
→これは下壁梗塞のミラーイメージなので、下壁のACS確定ですね。
但しST上昇は、II=III誘導です。
→RCA or LCXの鑑別が、判定出来ていません。
I,V6でのST上昇がない。
→側壁梗塞はなさそう。
→回旋枝病変が、考えにくくなりました。
V3,4(&5)でのST上昇あり。
→LAD病変もあるようです。
ココまでは、宜しいですか?
付いてきていますか~?
V6の変化が無くて、V3-5のST上昇があって、しかも下壁のST上昇もある。
オッカムの剃刀の理論で、一元的に考えてみましょう。
Occam's razor
ある事柄を説明するためには、必要以上に多くを仮定するべきでない
14世紀の哲学者・神学者オッカム
前下行枝(LAD)の一枝病変である。
と仮定したら、この心電図は、説明出来るのか?
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