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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-404:answer

胸部不快感と呼吸苦でER搬入です。

 

では順を追って、(後付けの)心電図解釈を述べますね。

 

香坂俊先生が新著(もしも心電図で循環器を語るなら 第2版)で仰有っているように、

 

II,III,aVFでのST上昇は、下壁のACS

V6,I誘導でのST上昇は、側壁のACS

V1-5でのST上昇は、前壁のACS

 

と、割り切ってシンプルに考えるのが基本ですね。

(最初から、グチャグチャした思考に陥らないこと!) 

 

 

では、この症例の心電図を解析しましょう。

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II,III,aVFでST上昇を示しています。

 →下壁梗塞のはずです。

 

aVLでST低下しています。

 →これは下壁梗塞のミラーイメージなので、下壁のACS確定ですね。

 

但しST上昇は、II<III誘導です。

 →RCAが 責任病変のはずです。

 

I誘導でST低下,V6でのST上昇です。

 ここはちょっと考えますが、RCA病変の可能性大です。

 

V1-4のST低下は、下壁誘導のミラーイメージです。

 

aVRではST低下です。

胸部誘導のST低下はLMT病変も鑑別に挙がりますが、心電図上は否定ですね。

 

CAG-control造影(LCA)です。 

f:id:heart2019:20210803224909j:plain

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おっと、LCxの複数の有意狭窄病変があります。

 

 

 

 

CAG-control造影(RCA)です。 

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#3 で完全閉塞です。

心電図パターンと造影所見より、こちらが責任病変として、緊急PCIを行いました。

回旋枝(LCx)と右冠動脈(RCA)の二枝病変では、心電図が責任病変の決定打になることがあります。

 

 

 

#3 の病変にwireをクロスさせました。 

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RCAの末梢病変が描出されていますね。

#3 に血栓像が認められます。

RCAのcotrolの動画です。

 

[http://:title]

 

 

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PCI(stent留置)後のRCA-CAGとPCI直後のICUでの心電図です。けっこうな支配領域を持ったRCAでした。

下壁誘導は、梗塞完成パターンですね。ST上昇があるために、まだ胸部誘導のST低下(ミラーイメージ)が残っています。

 

 

回旋枝は、翌日PCIしております。

経時的な心電図変化です。

胸部誘導は、ミラーイメージ似すぎませんでしたので、安定期にはST変化が無くなっています。(T波は、ちょっと高くなっているかも知れませんね。)

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【教訓】

RCA/LCxの二枝病変は、どっちが責任病変かで迷う。

*心電図が、その決定に役立つ(ことがある。)