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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-238:answer

 70才代女性の心電図で、悩みました。 

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II, III, aVF で明らかなQ波があります。STも少し上昇してます。

aVL でのST低下。ミラーイメージでしょうか。

V5,6でのQ波あります。でも、異常Q波とまでは云えない。

 左室肥大を思わせる高電位はありません。

 冠動脈造影を行いました。狭窄性病変はありませんでした。

 左室造影です。過収縮の状況です。

Ecg238lvgforweb

 

 Q波の出現は、左心室の総合ベクトルが、その測定部位より離れていくのを記録しています。その成因としては、

* 測定部位が、なんらかの心筋虚血により起電力を失っている。

* 対側の心筋肥大が著明で、電位が引っ張られている。

 のどちらかに、ほぼ収攣します。

 心筋シンチは、相対的な心筋からの放射線量のカウントを表示します。

 血流が減ると、perfusion defectとして表現されます。

* 心筋虚血があれば、放射線の集積が減ります。

* 局在性の肥大があれば、そこに放射線集積され、対側の正常部位がが相対的にカウントが減ります。

 肥大部の集積亢進心筋灌流増加。非肥大部に比べ相対的に集積が高く見えるため。

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  もう一回、心電図に戻ります。 

Ecg238forweb_2





 この幅広く、II 誘導まできっちりとあるQ波は、普通は陳旧性下壁梗塞をイメージさせます。他に、考えにくい。

 でも今回の症例は、

 明らかなACSとしてのエピソードがない。

 冠動脈造影では、intact

 左室造影は、左室肥大による過収縮を示唆する。

 心筋シンチでも、左室壁運動は良好。

 下後壁の虚血か、非対称性肥大での下後壁Uptake減少。

 など、HCMとしてのQ波ではないか!と 思わせる所見続出です。

【幅広いII,III,aVFQ波でも、虚血性心疾患でないことがある・・・のでしょうか。。】

 正直、確信が持てないんです(-_-;*)

 こんなこともある、と云う症例提示でした。

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