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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-260:answer

   徐脈をERで認めたら、

  •   ACS (ほとんどが、RCAの閉塞です)
  •   高カリウム血症による心電図変化
  •   薬剤性の徐脈(今回、徐脈を誘発する薬剤投与歴無し)
  •   Sarcoidosisなどの伝導系障害を起こす疾患の有無

  などの鑑別で、まずACSを除外して下さい、すぐに!   お約束ですね。

  三日前から、調子を崩していたようです。しかも、徐脈です。

他の結果が出るのを待たず、ACSか否か、心電図評価です。念のため、右側胸部誘導も。

Ecg2602erweb

クリックすると、ECGが拡大します。

*  徐脈です

*  IIIaVF ST上昇あり。

*  I, aVL ST低下あり。

      →II は、知らん顔していますが、普通に下壁梗塞を想起します。

      →V4-6も、ST低下あり。連動した変化のようです。

*  VR3-5 ST上昇あり。右室梗塞もありそうです。

      →発症から三日経っているはずなのに、まだ変化が残っています。

 

Ecg2603pweb

クリックすると、ECGが拡大します。

*  PRWPで長めの記録でも、ハッキリとP波と呼べるものがありません。

      →3,7拍目のQRS の前には前にはP波がある気もする。

      →2拍目のSVPC の様の早期収縮の前(=1拍目のT波)に、P`が乗っかって

         いるようにも、見える。

      →でも、基本的に洞結節は、疲れ切っているようです。

*  搬入時の5.7mEq/Lでしたので、sino-ventricular conductionでP波欠損かもしれません。BUN/Cr=59/2.21(mg/dL)と、脱水でもありました。

 次は、緊急カテの所見です。一時ペーシングしています。

 

Ecg2604pciweb

右冠動脈(#1)で、見事な完全閉塞です。

洞結節が元気がないのも、うなずけます。

PCIも、血栓が多く大変でしたが、そこは省略します。

なお、心エコーでは、右室梗塞を合併していました。

第二病日の心電図です。

Ecg2605web

クリックすると、ECGが拡大します。

*  II, III, aVFで、P波がありますが、陰性Pです。

      →coronary sinus rhythmです。まだ、洞調律ではない。 

* 下壁のST上昇は、穏やかになりつつあります。

* 胸部誘導のST-Tは、短時間でいろいろ変化しています。

      →短時間で動き回るのか、虚血心の心電図変化の特徴です。

  右室梗塞が発生するには、右冠動脈が起始部で閉塞しているはずです。今回は、カリウム値も高めでしたが、洞結節動脈(sinus node artery)への血流が途絶えていたのも、徐脈の原因と思われます。



【 徐脈を見たら、ACSと高カリウム血症をまず除外する 】

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