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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-316:answer(2/2)

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https://heart2019ecg.hatenablog.com

 

(現在、はてなブログと両方にUpしておりますが、ココログよりの引っ越しが終了した時点で、このwebsiteは、冷温停止状態と致します。閉鎖はしない予定です。今後の症例Upを高速快適に見て頂くために、上記のはてなブログへブックマークして頂くと、幸いです。おそらく2019年5月一杯で、移転完了予定です、ココログ側がエクスポート機能を作動してくれれば。。)

 

半年前の X day に戻ってみます。

この患者さんの搬入時の心電図です。 

 

* 洞調律で、CRBBBです。

V2-6 I, aVLでST上昇です。

II, III, aVF で著明ST低下です。(これは、ミラーイメージです。)

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クリックすると、心電図が拡大します

 

では、冠動脈はどんな状態であったのか。

PCI前後の造影所見です。

IABP, thrombuster, KBT とけっこう大変でした。

なお、RCAはintactでした。

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クリックすると、心電図が拡大します

 

LADへの血行は、PCIで再建されました。

見えていなかった high lateralが見えてきましたが、血栓性と思われる閉塞が残りました。

 

PCI前後での心電図変化です。

PCI後は、CRBBBのままでST-T変化はかなり治まってきました。 

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23:19には、V1-5 I, aVLでほぼQSパターン。となっています。 

CRBBBは無くなったので、QSパターンがハッキリしてきました。

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この後、IABPを離脱し時間が掛かりましたが、うっ血状態から離脱できて、一般病棟で1ヶ月ほどリハビリした後に、外来管理へ移っております。

 

心筋シンチでは、心尖部から前壁の defect を認め、薬物負荷でも殆ど変化がない = 心筋壊死を示します。

心筋シンチによる壁運動解析では、収縮時に心尖部は、dyskineticに動いています。

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さらに、ER/PCI 6時間後/X+6 monthsの心電図を加えて見ます。

 

I, aVL ,V5-6, は、QSパターン化したままです。心尖部/側壁の梗塞完成。

V1-4 では、r 波の復活です。 

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大阪の盟友 S 先生とのdiscussionで、以下のお話しをしております。

 

◎このPCIで、心原性ショックで患者を失う事を、回避している。

◎心尖部はdyskineticであるも、心筋シンチでの残存心筋は十分にあり、内服薬での心不全コントロールに成功している。

◎緊急PCIでの冠血流再開は、心破裂のリスクを激減させる。

 

 

回答(answer)です。

 

【Question-1】 この心電図から、半年前に何があったのか?想像して下さい。

 

ACSでした。#6の血栓性完全閉塞で、high lateral枝を含んでいました。

LADの血行再建に成功し、high rateral枝も復活してますが、途中で閉塞のままです。おそらく血栓性です。

このストーリーを、X+6カ月後の心電図から読み取るのは、無理筋です。小さなr波があるけれど、広範囲前壁梗塞の可能性あるよね、と理解出来ればOKです。

 

 

【Question-2】 どのような検査で、それ(OMIの範囲)を推定しますか?

まずは、心エコーです。これで、側壁のみか広範囲前壁か、虚血範囲の同定でがきます。心筋シンチで、助けるべき心筋が残っているかの推定を行います。

 

安定期心電図から、イベント発生時の状況を推し量る、というお話しでした。