90才代女性です。肺炎でした。
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素直に12誘導心電図を読むと、広範囲前壁の陳旧性心筋梗塞となりそうです。 なんせ、V1-5まで QS pattern なんですから。
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心電図が変なときは、必ず胸部レントゲンを見直して下さい。何かを、教えてくれます。(baisになることもありますが。。)
胸部レントゲンは、ホントに変ですね。横隔膜は、どこに行ってしまったのでしょうか?
胸部CTとの併せて、判読してみます。
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胸腔内に、大腸ガスが沢山ありますね。
巨大な横隔膜裂孔ヘルニアが、胃だけで無く、大腸まで押し上げてしまいました。そのために押されて回転した心臓は、心尖部がほぼ背側を向いてしまいました。
高齢の女性にはありがちな事ですが、さらに骨粗鬆症による椎体圧迫骨折もあって、胸郭自体が変形しております。
なお、心エコーでは、左室の収縮性は良好でした。
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日頃の我々の12誘導心電図診断は、(心臓がほぼ正常な位置に存在する)前提で行われます。その心臓自体が、変な位置取りをしていたら、解釈は混乱を極めてしまいます。
その為にも、胸部レントゲンで心臓がきちんと(いつもの場所にいるのか?)、お伺いを立ててみて下さい。
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Diagnosis : 心回転・偏位による pseudo-MI pattern でした。
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