回答:高カルシウム血症でした。
QT短縮有りませんね。困りました。
これは、以前このブログでも、取り上げている話題です。
ECG-076:意識障害を心電図で鑑別・・できるのか
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【コラム-009】高Ca血症の心電図での、QT/QTc短縮となるロジックと、その限界性
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このコラムは、サイト内アクセス・ランキングで、いつも高順位を貰っております。皆さん型も、疑問に思う点なんですよね。
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今回は、意識障害まで生じておりません。
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QT/QTcの短縮で、高Ca血症を判断する訳ですが、時系列で見ても、全然わかんないですよね。
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なお、アルブミン値補正すると、
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X day Ca=15.8mg/dl (補正Ca値=16.9mg/dl)
X+1day Ca=14.4mg/dl アルブミン値測定無し
X+16day Ca=8.6mg/dl (補正Ca値=10.0mg/dl)
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高カルシウム血症の診断は、実際に測定してみないと分からないんです。
カルシウム製剤やビタミンD製剤を内服している薬歴があると、すぐピンと来るでしょう。けれど、腫瘍の骨転移等でカルシウム値が上昇する場合には、画像でしっかりとした異常を見つけるまで、確定できません。
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【 状態の悪い患者では、常に高カルシウム血症の存在を疑って、心電図なんか当てにしないこと! 】
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これが、今回の教訓です。
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以前提示したポイントは、
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* QT時間は個体差が大きい。
* 交感神経の関与等で、QT時間は変動してしまう。
* 以前の心電図と比較しても限界あり。
◎ 心電図でカルシウム値を推定するのは、煩悩である。
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もし、血清カルシウム値が正常でQT短縮があれば、それは先天性QT短縮症候群ですので、びっくりして下さい。VT等での突然死リスクです。滅多に会えないようですが。
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