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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-343:answer

このT波の尖りは、まず高カリウム血症を思い浮かべますね。

 

 ERの心電図(X day)です。

*V4,5,6で、ST上昇とT陰転化があります。

*II, III, aVF, V3-4での尖りT波あります。

*V5-6での陰性の尖りT波も、高カリウム血症の表現か??

*P波は、有るような・無いような、ハッキリしません。

 

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過去情報はなく、このままICUでの緊急透析となりました。カリウム値は、数時間以内に安全域に戻りました。

 

血清カリウム値=8.8mg/L

 

血清Cr・K値の経時的変化を示します。

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末期腎臓病(ESRD:End Stage Renal Disease)による高カリウム血症だと分かると、食思不振・意識障害の出現が、理解出来ました。

高カルシウム(Ca)血症でも、同様の症状あり得ますけど、こんな心電図にはなりません。せいぜいQT短縮くらい。

 

X+2daysの心電図です。

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*P波もしっかり見えます。

*QRS幅も締まってきました。

*LVH様の心電図ですが、ST-T変化はかなり穏やかに。

 

もちろん、持続透析に移行しております。

 

わたしが驚いたのは、3年後の心電図です。

定期の透析直前で、K=4.9mEq/Lです。

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ずいぶんと正常化しています。

心エコーでも、軽度の容量負荷(シャント血流)くらいです。

順調な透析管理で心負荷も減って、心電図も良くなったんですね。

カリウム血症では、

*胸部誘導主体の尖鋭化したT波。

*P波の消失(sino-ventricular conduction)

*QRS波のワイド化

*最後には、サインカーブ

が通常ポイントですが、こんな心電図が初回のこともあると、学びでした。