このT波の尖りは、まず高カリウム血症を思い浮かべますね。
ERの心電図(X day)です。
*V4,5,6で、ST上昇とT陰転化があります。
*II, III, aVF, V3-4での尖りT波あります。
*V5-6での陰性の尖りT波も、高カリウム血症の表現か??
*P波は、有るような・無いような、ハッキリしません。
過去情報はなく、このままICUでの緊急透析となりました。カリウム値は、数時間以内に安全域に戻りました。
血清カリウム値=8.8mg/L
血清Cr・K値の経時的変化を示します。
末期腎臓病(ESRD:End Stage Renal Disease)による高カリウム血症だと分かると、食思不振・意識障害の出現が、理解出来ました。
高カルシウム(Ca)血症でも、同様の症状あり得ますけど、こんな心電図にはなりません。せいぜいQT短縮くらい。
X+2daysの心電図です。
*P波もしっかり見えます。
*QRS幅も締まってきました。
*LVH様の心電図ですが、ST-T変化はかなり穏やかに。
もちろん、持続透析に移行しております。
わたしが驚いたのは、3年後の心電図です。
定期の透析直前で、K=4.9mEq/Lです。
ずいぶんと正常化しています。
心エコーでも、軽度の容量負荷(シャント血流)くらいです。
順調な透析管理で心負荷も減って、心電図も良くなったんですね。
高カリウム血症では、
*胸部誘導主体の尖鋭化したT波。
*P波の消失(sino-ventricular conduction)
*QRS波のワイド化
*最後には、サインカーブ化
が通常ポイントですが、こんな心電図が初回のこともあると、学びでした。