40才女性の入院時心電図でした。
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何を、感じ取られたでしょうか?
所見を見出すならば、以下の様になります。
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◯ 全体的にLow Voltage. 臨床的意味は、不明。
◯ でもよく見ると、ちょっと右軸偏位。
◯ 胸部誘導の移行帯は、V5くらいにある。
◯ でも、著明な右心負荷を想起する他の所見はない。
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取り敢えず、入院時レントゲンを見てみましょう。
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う~ん、心拡大はないようですが、肺動脈がちょっと拡大気味でしょうか?
Low voltage は、皮下脂肪と立位心的状態のためか?時計回転もそれに伴った心臓自体の回転によるか、それとも。。
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この時点で、研修医は収縮期雑音に、気付いていました。
研修医に呼ばれた循環器医は、+II 音の分裂を指摘しました。
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心エコーをしてみましょう。えっ、術前エコーでオーダーして、今日もう終わっているの?じゃ、見てみよう。
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(左室長軸断面像)
右室がちょっと、拡大しているのかな?
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(左室短軸断面像)
右室がやっぱり拡大しているね。
拡張期の心室中隔のD-shape像がはっきりしないから、そんなに肺高血圧はないのかな。
カラードプラでの異常血流が見たいね。
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(カラードプラ;四腔像)
う~ん、ASDか。。
左房からう右房への短絡血流が、しっかりと見えるね。
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胸部CTが撮影されました。もう一度、胸部レントゲンと比較です。
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胸部レントゲンだけで、何かを読み取るのは、ちょっと無理がありそうです、やっぱり。
胸部CTよりは、肺動脈やや拡大。右心系もやや拡大と読み取れます。
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今回は、次の教訓を得ました。
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【 やっぱり、心雑音は何でなのか、よくよく考えてみる 】
【 しっかり聴くと、II 音の分裂から、右心系の負担が予想できる 】
【 その上で、心電図を見ると、右心負担が読み取れそうになる 】
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この症例の先天性心疾患の存在を、12誘導心電図から診断するは、やりすぎだと思います。
上記所見を加味すると、心エコーにお伺いを立てる手順が、明らかとなります。
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もちろん、聴診(ESM & II 音の分裂) → 心エコー → ASD診断でもOKです。
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なお、この場合のESMは、相対的肺動脈弁狭窄(肺血流増加による)の音を聞いております。
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