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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-256:answer

 心房細動であることを除いても、なんかおかしな心電図だな。QRSST-T変化が、普通じゃないよね、心エコーしとこう・・と思えたならば、心電図の役割は十分です。

 まず、胸部レントゲンを心臓主体に見てみましょう。(肺野は、別の問題です。今回はスルーして下さい。)


Ecg2563web_2

クリックすると、拡大します。

  •   IV弓の突出が、最も目立つ所見です。
  •   III弓の突出はない。(僧帽弁疾患は考えにくい)
  •   大動脈弓が小さめ。(心拍出量少ないか)
  •   肺動脈の拡大無し。(肺高血圧の可能性少ない)

 正面像だけで、全ての鑑別は難しいです。これを、念頭にも一回心電図を詳細に読んでみます。


Ecg2564web

クリックすると、ECGが拡大します。

★ 心房細動に異論は無い。

☆ やや左室の高電位。

★ 複雑なST-T変化を、主にV5,6で認める。

    →下がって、上がって、又下がるややこしい波形。

☆ I, aVLと、側壁にも左室肥大としてのST-T変化を認める

★ II, III, aVFで、STの上昇を示す。上記のミラーイメージ??

☆ QRSに、notchslurを認める。心筋障害を示唆する。

 これらの所見をまとめて、左室が変!と思えたら、上出来です。

 当然、心エコーで左室の状態を確認していきます。

 心エコー図を、示します。

**左室長軸断層図**

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 とんでもない左室肥大が理解出来ます。

 左室内腔が、僧帽弁の先端までしか、ありませんね。

僧帽弁と大動脈弁に、明らかな問題がありません。

**左室長軸断層図:心尖部より**

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 左室の内腔が、拡張期も殆どありません。

 心尖部まで心肥大は、及んでいます。

 心尖部肥大型心筋症と、思われます。

 

**左室短軸断層図**

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 短軸像で見ると、後下壁側はわずかに肥大を免れています。

 Maron-III型の肥大ですね。

** 4 chambers view Color **

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 カラードプラ像です。

 収縮期に、mid-ventoricular部分で、加速血流(モザイク)があり、HOCMとしての所見を理解出来ます。

 もうひとつは、心尖部に拡張期の加速血流(モザイク)が確認されることです。左室中部の肥大は、拡張期も漏斗状となり、心尖部に高速血流を作っているようです。カラードプラですので、2m/sec.程度の血流でもモザイクを呈します。

** 2 chambers view Color **

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 上記所見が、さらに明瞭となります。

  著明な左室肥大です。

  なんとも説明し難い心肥大を呈する変な心電図=HCMで、だいたい当たります(←今回強気です)。

  少なくとも、心エコーに進む動機付けとなります。

  但し、HOCMか、Maronの何型か、までは分かりません。

【 変な左室肥大は、肥大型心筋症も疑いましょう!! 】