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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-312:answer

初期研修医A(1年目)

 心電図を見て、ヤバイとまず思いました。

 胸部誘導に広範なQSパターンを呈しています。徐脈ですし、ACSをまず疑いました。すでにかなり進行した状態かもしれません。緊急のPCIをするには、さすがに超高齢です。一時ペーシングでしのぐか?と考えました。

 

初期研修医B(2年目)

 徐脈が一番気になりました。心エコーでは、左室の収縮性は良好です。この胸部誘導変化がACSならば、前壁中隔は全然動いてないはずです。

 胸部レントゲン・心筋トロポニン・BNP値測定を測定します。

 

なりたての後期研修医C(3年目)

 徐脈ですね。P波が見えません。心房静止状態か、完全房室ブロックの心房細動かもしれません。基線にノイズが多いので、f波はよく分かりませんね。

 薬剤性の房室ブロックかも、薬歴を確認しましょう。

 

還暦の指導医(が、ぶらっとやって来て)

 ねえ今時は、塩化カルシウムとカルチコール(グルコン酸カルシウム)と、どっちが主流なんだっけ?

 

研修医(A,B,C)

 えっ・・・、ワー!!血清カリウム値すぐに確認!GI療法準備!アシドーシスは?メイロンは?

 

 

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上記は、話の都合上ちょっと盛ってます。

 

カリウム血症の心電図は、

 

(1.)    tall-T waveの出現:主に胸部誘導

(2.)   P waveの消失なるもリズム整(sino-ventricular conduction)

(3.)   QRS幅の拡大

(4.)   徐脈

(5.)   サインカーブ状の波形となる

 

 心電図問題を作るならば、(1.)  か、(1.)       (2.)  が必要ですよね。

 

 今回の心電図は、(regular)徐脈とP波の消失。V1-5までQSに近いパターンでした。

 ACSに思考を引っ張られたのも、分かります。

 ノイズが多いんですが、時系列で波形を見てみましょう。

Ecg3122kweb 

クリックすると、ECGが拡大します。

 

 

QRS-ST-Tを見ても、高カリウム血症には思えませんね。

V1-3の記録を比較します。 

Ecg3123kv123web

クリックすると、ECGが拡大します。

 

K=5.9mEqでは、徐脈でP(たぶん)ありません。ノイズ多し。

 

K=4.6mEqでは、徐脈は無くなり、P波もしっかりあります。

 

カリウム値と心電図変化は、あんまりパラレルではない。

心電図所見のみで、高カリウム血症を除外してはいけません。

 

なお、翌日の情報提供で、カリウム製剤が投与されていたことが分かりました。

 

 K=5.9mEqはよく見る値ですし、心電図変化を起こさない例の方が多いです。利尿があり、バイタルサインが安定していれば、心電図モニターとカリウム吸着剤の使用で対応します、私は。

 でも、このような症例もあるんです。

 

2015_9_27_2

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