後期研修医(のあなた)は昨日の(SSS/BTS)に続いて、こんどはショック症例です。プレゼントを買いに、いつ行けるのか。。
=心電図診断ブログですので、同時に行われる治療は別のお話です=
高齢・突然のショック・冷汗・不穏・四肢冷感・脈拍触知困難。
この条件で、思い浮かんだ鑑別疾患は、
大動脈解離≧ACS >> 肺塞栓(重症) >>>> タコツボ心筋症・その他
でした。
*大動脈解離
突然発症と症状は、合致します。
高血圧ではなくショックで来る解離症例は、かなり危険です。よく分からない不穏
は、鑑別から落とさない。
*肺塞栓(重症)
心電図のみでは、ACSとの鑑別は難しいことあり。
ショックになるなら、心エコーで右心系負荷像必ずあり。
心電図のみでは、ACSとの鑑別は難しいことあり。
心エコーでの鑑別も微妙なことあります。
いろいろと思考が駆け巡りつつ、なんとか取れた12誘導心電図も基線がグチャグチャです。でも、せっかくの情報です。なんとか読んでみましょう。
電子カルテの心電図viewerの機能を使います。(6誘導表示)に変えて、読めそうな部分を拡げます。
◎ER心電図の肢誘導
なんとか読める部分の反復性を大事にしましょう。
*II,III,aVFでのST低下は明瞭です。
*aVLでのST上昇は、はっきりしてますね。
*aVRでのST上昇は・・・あるような気がするけど、分からない。
*P波ありそう。
◎ER心電図の胸部誘導
なんとか読める部分の反復性を大事にしましょう。
*P波の存在は、確実です。
*wide-QRS気味ですが、高カリウム血症ではなさそう。
*V2,3のST低下は確かです。
*QRS→T波。ST部分がないですね。変にT波尖ってます。
LAD? RCA? LCX?
一枝病変と考えると、うまく説明出来ません。
aVLでのST上昇・V2,3のST低下。
→回旋枝だとすると、ショック説明出来ません。
II,III,aVFでのST低下・V2,3のST低下。
→右冠動脈では、ちょっと合わない。
→右室梗塞絡みのショックなら、徐脈・房室ブロックのはず。
胸部誘導の尖りT波
→前下行枝病変で、V2,3のST低下はない。説明出来ない。
上手く説明出来ないけど、(危ない心電図)はLMT病変を想起する。直感的判断でいいんです。鑑別診断から外さず上位に持ってくる!
いきなりショックとなる重度のACSでは、心筋酵素が上がる暇もないんです。
心エコーでは、LVEF= 10~20%くらいのdiffuse LV wall motion - severe hypokinesis RCA領域のみ動いている感じでした。右心系の拡大はありません。心のう液貯留もなし。
挿管管理・PCPS/IABPのバックアップ下で、CAGとなりました。
LMT病変でした。
いろいろあって、最終的にCABGとなっております。
(LCA-CAG)
[http://:title]
(RCA-CAG)
[http://:title]
カテ室に搬入された時の心電図(CAG前)です。
この前に、DC-shock(VFに対して)施行もありました。
リカバリーした心臓が、徐脈になることはよくあります。
aVRのST上昇が明瞭です。LMT病変の所見です。
ACSのER心電図は、しばしば基線が乱れます。のんびり取り直しできませんね。読めることだけ情報を得て、他の検査所見との合わせ技で診断です。
【 LMT病変/ショックの初回心筋酵素値は、除外診断に使えない 。】
【 aVRのST上昇判定は、ショック時こそ有用 】
【 説明出来ない異様な心電図は、LMT病変を想起する 】