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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-334:answer

後期研修医(のあなた)は昨日の(SSS/BTS)に続いて、こんどはショック症例です。プレゼントを買いに、いつ行けるのか。。

 

=心電図診断ブログですので、同時に行われる治療は別のお話です=

 

 

高齢・突然のショック・冷汗・不穏・四肢冷感・脈拍触知困難。

この条件で、思い浮かんだ鑑別疾患は、

 

大動脈解離≧ACS >> 肺塞栓(重症) >>>> タコツボ心筋症・その他

 

でした。

 

*大動脈解離

  突然発症と症状は、合致します。

  高血圧ではなくショックで来る解離症例は、かなり危険です。よく分からない不穏

      は、鑑別から落とさない。

 

*肺塞栓(重症)

  心電図のみでは、ACSとの鑑別は難しいことあり。

  ショックになるなら、心エコーで右心系負荷像必ずあり。

 

たこつぼ心筋症

  心電図のみでは、ACSとの鑑別は難しいことあり。

  心エコーでの鑑別も微妙なことあります。

 

いろいろと思考が駆け巡りつつ、なんとか取れた12誘導心電図も基線がグチャグチャです。でも、せっかくの情報です。なんとか読んでみましょう。

電子カルテの心電図viewerの機能を使います。(6誘導表示)に変えて、読めそうな部分を拡げます。

 

 

◎ER心電図の肢誘導

なんとか読める部分の反復性を大事にしましょう。 

f:id:heart2019:20190901235731j:plain

クリックすると、心電図が拡大します

*II,III,aVFでのST低下は明瞭です。

*aVLでのST上昇は、はっきりしてますね。

*aVRでのST上昇は・・・あるような気がするけど、分からない。

*P波ありそう。

 

 

◎ER心電図の胸部誘導

なんとか読める部分の反復性を大事にしましょう。 

f:id:heart2019:20190901235807j:plain

クリックすると、心電図が拡大します

*P波の存在は、確実です。

*wide-QRS気味ですが、高カリウム血症ではなさそう。

*V2,3のST低下は確かです。

*QRS→T波。ST部分がないですね。変にT波尖ってます。

 

 

 

LAD?  RCA?  LCX?

一枝病変と考えると、うまく説明出来ません。

 

aVLでのST上昇・V2,3のST低下。

→回旋枝だとすると、ショック説明出来ません。

 

II,III,aVFでのST低下・V2,3のST低下。

→右冠動脈では、ちょっと合わない。

→右室梗塞絡みのショックなら、徐脈・房室ブロックのはず。

 

胸部誘導の尖りT波

→前下行枝病変で、V2,3のST低下はない。説明出来ない。

 

上手く説明出来ないけど、(危ない心電図)はLMT病変を想起する。直感的判断でいいんです。鑑別診断から外さず上位に持ってくる!

 

 

心筋酵素が全然上がってないのにACS??

いきなりショックとなる重度のACSでは、心筋酵素が上がる暇もないんです。

 

心エコーでは、LVEF= 10~20%くらいのdiffuse LV wall motion  - severe hypokinesis RCA領域のみ動いている感じでした。右心系の拡大はありません。心のう液貯留もなし。

 

挿管管理・PCPS/IABPのバックアップ下で、CAGとなりました。

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クリックすると、拡大します

LMT病変でした。

いろいろあって、最終的にCABGとなっております。

 

(LCA-CAG)

[http://:title]

 

 

 

(RCA-CAG)

[http://:title]

 

 

 

カテ室に搬入された時の心電図(CAG前)です。

 

f:id:heart2019:20190902000147j:plain

クリックすると、心電図が拡大します

 

この前に、DC-shock(VFに対して)施行もありました。

リカバリーした心臓が、徐脈になることはよくあります。

aVRのST上昇が明瞭です。LMT病変の所見です。

 

ACSのER心電図は、しばしば基線が乱れます。のんびり取り直しできませんね。読めることだけ情報を得て、他の検査所見との合わせ技で診断です。

 

 

【 LMT病変/ショックの初回心筋酵素値は、除外診断に使えない 。】

 

【 aVRのST上昇判定は、ショック時こそ有用 】

 

【 説明出来ない異様な心電図は、LMT病変を想起する 】