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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

【コラム-014】不整脈薬物治療:略伝

不整脈薬物治療:略伝】
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 不整脈治療の薬物選択は、経験主義に近かったのが、昭和の時代でした。
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 もちろん、基礎医学(生理学)理論はちゃんとありました。それを、実臨床に、飛躍させて使っていたんですね。EBMなし。
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 例えば、抗けいれん薬・アレビアチンの有用性は、ご存知ですよね。脳での異常な電気的発火を押さえるのだから、心筋での異常発火=心室不整脈も押さえるはず。ここまで、単純な発想ではなかっでしょうが、不整脈治療の本に、ちゃんとアレビアチンが載っていました。
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 マラリア治療薬のキニーネの兄弟:キニジン
 強力なお薬でしたが、催不整脈作用も強く、VT起きてました。『キニジン失神』と呼ばれていました。困ったもんですね。
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 アミサリンの内服薬も、ありました。3〜4g/day.と云うサプリメントみたいな量を服用です。日光過敏症など、副作用てんこ盛りでした。
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 CAST-studyを経て、チェス理論のように(電気生理学的として)精密に、薬剤を選んでいくSicilian Gambit。でも、アウトカム改善無し。とほほ、でした。
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 そうする内に、カテーテル・アブレーションの勃興で、多くの危ない不整脈が治療可能となりました。しかも、アブカテが成功すると、もうお薬も要らないか、かなり減ります。医師と手が切れる場合もあります。
 多くの英知と経験が結集されて、得られた抗不整脈薬治療の結論は、
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【抗不整脈薬は、いらない。患者が困っていない不整脈では】
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 でした。PVCが出ようが、SVPCが出ようが、(患者が)困っていないならば、お薬の投与は、慌ててはいけないんですね。どうしても、それを治したり、押さえたりしなくてはいけない必然性(evidence)がある時のみ、投薬を考えます。もちろん、アブカテで済めば、アブカテ優先です。
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 一部、ハイブリッド療法として、ICD植え込み後にVT/Vf発生予防として、アミオダロンが併用されることがあります。どうして効くのが生理学的にはよく分からない多岐にわたる作用機序を、持っている薬です。
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 一般医が、きちんと向かい合わないといけない不整脈は、たぶん心房細動だけです。Rate Control & Rhythm Control。それ以外は、不整脈専門医に丸投げ! は、ひとつの正しいスタンスです。
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強調したいところを、赤の大文字としてみました(2020/11/4)。
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