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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-119:answer

ECG-119:91歳女性。急性心筋梗塞でした。

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 91歳で社会的事情もあり、経過観察だけになった症例です。CPKmax.=4500、心筋トロポニン-I=350となった症例です。10日目に永眠されています。冠動脈造影は施行されておらず、この説明は推測の部分があります。
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 先の発症後心電図を見てみます。

E119

クリックすると、ECGが拡大します。

◎ 心房細動となっています。

◎ II, III, aVFで、異常Q波とflat-Tを認めます。STもやや高い。赤丸◯

◎ V4-6のT波が低いと云うより、QS-patternとなっています。緑丸◯

◎ V1-3のr波も元気ありません。

 → 前下行枝:Seg-8付近で閉塞した心尖部を巻いたLADでのACS.

 →大きな右冠動脈の起始部閉塞によるACS.

 二つの解釈は可能ですが、私は後者を取りました。

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 発症時の急性期心電図です。

 

E11912918amionset

クリックすると、ECGが拡大します。

◯  洞調律です。

◯  II, III, aVFで、明瞭なST上昇。IIIでは異常Q波有り。

◯  V4-6でも、STは上昇しています。

◯  I, aVLでは、ST低下を示しています。ミラーイメージです。

   →ミラーイメージの存在は、ACSを強く支持(probably)します。

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 典型的な下壁梗塞で、その領域は側壁にまで及んでいます。

RCAの梗塞で、とても大きな右冠動脈での心筋虚血である。

→Lcxの梗塞で、側壁・下壁が虚血である。伝導系に障害無く、AV-blockなし。

→LADのSeg-8あたりの梗塞である。これが、心尖部を下壁側へ回り込んでいる。

 よって、II, III, aVFのST上昇も伴っている。対角枝(Seg-10)の虚血=側壁障害。

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 上記三つの解釈ができますが、常識的には、大きなRCA一枝病変でしょう。

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 ここで、当然心エコーでの確認となります。

 

E119_2

クリックすると、拡大します。

 2腔像では、下後壁が後半に壁運動障害を呈しています。

 2,4腔像では、心尖部での心室瘤様の運動障害を記録しています。

 右心系の拡大はなく、右室梗塞の合併はないようです。

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 心エコーの動画で再確認です。2腔像→4腔像と連続で確認できます。

 

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 下後壁を大きく支配し、心尖部まで及んだ壁運動障害です。大きなRCAでの障害が、私には理解しやすいのですが、冠動脈造影を行っていませんので、真実は不明です。でも、PCIしないのならば、その詮索は、あんまり意味ありません。

 広範囲な下壁・側壁の梗塞であることが、理解できれば、よいのです。

 発症前の心電図を、提示します。

 これと比較すると、亡くなる前の心電図では、大きく起電力を失っています。全然別人のような心電図ですね。時に、1枝でもその支配領域が大きいと、絶大な障害を示します。

 発症前の心電図です。

 

E119111118

クリックすると、ECGが拡大します。

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