左気胸の診断に、心電図は要らない。
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この前提は、ひっくり返ることがない、のですが心電図を集めてみると、いろんな変化を示していることも、事実でした。
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【緊張性の左気胸:70才代】
手順として、先に心電図が記録されて、次に胸部レントゲンとなってしまった症例です。
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上記のような状況と、その治療後の心電図です.
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* V4の電位が、治療後に改善した見たいですが、他の誘導の変化が少なく、当てになりません。
* V1,2の電位とT波の変化の方が大きいですね。気胸により、心臓の回転が起きたのでしょう、たぶん。
* P波を見ても、緊急時に肺性P波のような尖り方は、していません。
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振り返りでも、この心電図は、あまり語りかけてくれませんね。
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【左気胸:90才代】
COPDの末期の超高齢者が、気胸となってER搬入です。すでに積極的加療は望まない状況だったのですが、呼吸苦を取る目的で、胸腔ドレーンを挿入されました。左肺門部には、未治療(経過観察のみ)の肺がんがあります。
左気胸状態での心電図です。
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全誘導での低電位です。これぞ、気胸の影響でしょうか?この方は、当院初回搬入であり、経過が急であったために、経時的評価はなされていません。胸部レントゲン・胸部CTを添えます。
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心臓は、右胸腔に押されています。
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せめて、胸部誘導の低電位は左気胸のシグナルとなるのではないか?
このお話は、次のコラムで。。
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