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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-201:answer

  90才代の女性で、毎日お布団の上げ下げをされています。ある日、よいしょと布団を持って、失神してしまいました。

   これで、Erb領域(第三肋間胸骨左縁あたり)に収縮期雑音があると云われれば、心電図を見ずとも、AS(aortic stenosis)と答えますよね。

 そうです、この答えはASなんです。

では、ASを前提として、心電図を見てみます。

* 左室起電力増加の high voltage を認めない。

* ST-T変化あるも、軽度である。

  あんまり、ASによる心電図らしくないんですね。

  心エコー所見です。

CW(continuous wave)で、大動脈弁血流速を測定。

ベルヌーイの式に当てはめて、圧格差測定。

(約5m/sec.で、4V2として100mmHgの圧格差と暗算します)


Ecg201cwforweb

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 高齢者のASは、基本的に動脈硬化性です。かなり急速に進行するようです。心電図上で、明らかな高電位・ST-change(strain型)を示す以前に、心不全を呈することが、よくあります。

 今回の教訓は、

【 心電図変化が少しでも、高齢者は重度ASがあります! 】

 と、なるようです。

 因みに、この方は夜に心房細動となっていました。

 

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 ASの患者さんが、失神する理由は、ハッキリしていないのですが、

心不全発作による失神  (低酸素・急な血圧低下か)

不整脈発作 (心室頻拍・PSVT/Pafによる血圧低下)

* 迷走神経反射 (左室内圧の過剰上昇によるか)

 たぶん、一過性の失神は迷走神経反射の結果かと、思われています。

 聴診して、収縮期心雑音を聴取する症例は、心電図の所見に関わらず、心エコーで評価して下さい。特に、後期高齢者以上はね。

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