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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-329:answer

80才代男性でCS1の患者さんです。

 

 胸部レントゲンは、flash pulmonary edema(電撃性肺水腫)で良いですね。

 心電図は、危機的に思えます。ACSしか考えられない!?!

 

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    人工呼吸器管理下で、緊急CAG施行しました。

 

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    冠動脈の閉塞・有意狭窄は、認めません。LMTもintactです。胸部誘導全部でのST上昇を説明するACS病変は無いんです。

 右冠動脈は、右室しか潅流しないsmall RCAです。

 

 その後の心筋酵素の著明な上昇もありませんでした。ピロリン酸心筋シンチでも、集積無しです。Tec-心筋シンチでの心尖部周囲のdefectを認めます。

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この症例では、CPK値の上昇は400U/Lまででした。

 トロポニン-I値も、軽度上昇で留まりました。

 

 

 

 陳旧性心筋梗塞による慢性心不全が、急激に悪化しCS1の病態を呈した症例です。心エコーの動画です。

 

 

 (心エコー:四腔断層像)

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 (心エコー:二腔断層像)

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 (心エコー:左室短軸像/心基部レベル)

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(心エコー:左室短軸像/中部レベル)

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 以前の心電図も入手できました。

 経時的変化を、見てみましょう。

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心不全発症6ヶ月前と、発症10日目の心電図波形は、ほぼ同じです。

I, aVLでのQ波、I,III,aV5,6QSパターン。V1-4small-r(ほぼQSに近い)が、同じで広範囲前壁(側壁も巻き込む)の陳旧性心筋梗塞です。

 

全胸部誘導で、STが上昇したのは、何故でしょうか。

 

(タコツボ心筋症)だと、V1でのST上昇があること・II,III,aVFでの変化がないこと、が心電図的には合わないですね。

 

 もともと低下している左心機能状態で、CS1が発生しました。陳旧性の心筋梗塞心室瘤が元々有るようです。

 

 心不全→カテコラミン出まくり→血圧上昇(末梢血管収縮)残存心筋の過収縮→心室瘤部のdyskinetic motionST上昇の発生

 

 かと思いました。

 

 

胸部レントゲンの変化です。

この患者さんは、前医でCCBしか投与されていませんでした。ACE阻害薬+β-blocker治療の変更しております。

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 心カテ所見で分かるように、前下行枝の支配領域は大きいです。

 以前の心筋梗塞で閉塞したはずの冠動脈が、慢性期にPCIなしで再開通していることは、時々あります。

 

 POBA,stentがまだなく、ウロキナーゼ・tPAを冠動脈注入していた時代は、再疎通failureがよくありました。でも、慢性期に勝手に?治っている(再疎通 recanalization)症例を経験しました。

 

 急性心筋梗塞の半数は、自然再疎通していると云う論文がありました。(紙ベース保存の時代で、探したけど出てこない(-_-;*))

 

 

OMIの心不全発作で、STが上昇することもある

 

OMI既往例のACS心電図判断は、けっこうムズイ