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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-341:answer

これを、

頻脈型の心房細動が心不全の原因(or結果)で、LVH(左室肥大)有りそうですね。LVHを来す高齢者疾患を鑑別しよう。

とすぐに思えた方は、心電図検定試験2/3級(心房細動編)クリアだと思います(たぶん)。

 

「せんせい!PSVTの心不全が搬入されました!」

とよく勘違いしていた(一年目研修医だった私)へのLECTUREが、ココからは始まります。

 

 80才代の女性で、起坐呼吸・喘鳴著明でER搬入でした。

 クリニカルシナリオ:clinical scenario  (CS1)です。

血圧 180/- 、脈拍数=160/min.

 血圧の高い急性心不全治療の最初の90分は、基本方針はほぼ同じですが、ERでできる心不全の原因評価もあります。

 

頻拍です。

頻拍だと、PSVT・2:1伝導AFL・VTが鑑別に上がります。

 →わりとnarrow QRSのVTもあるんです。

でも・・・

sBP=180mmHgのPSVT/VTは、ちょっと考えられない。

 

頻脈はショック状態でなければ、RR間隔をよ~く見つめて下さい。その気で見ると、RR不整見えてきます。見えるまで、長めに心電図記録するのが、コツです。

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クリックすると、心電図が拡大します

 

*P波のようだけど、ひとつひとつ形が違います。R波との間隔も異なります。

*RR間隔も不均一(デタラメ)です。きちんと云うと、絶対性不整なんです。

 よって、PSVTもAFL(2:1伝導)も除外されます。

 

安定化したX+8daysの胸部レントゲンです。(ER時との比較)

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クリックすると、拡大します

 

 

安定化したX+8daysの心電図です。

 

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クリックすると、心電図が拡大します

 

 

明らかな心房細動ですが、V1の基線の揺れが、なんか整って見えるのが気になる方がいるかも。

 

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クリックすると、心電図が拡大します



 

Pの消失

RR間隔の絶対性不整

 

が揃えば、心房細動と診断する。

 

細動波( F波 )を認めれば、さらに納得です(^_-)。

 

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心房細動のF波は、粗っぽくまとめると

心房内デタラメなマイクロリエントリーの団子です。

(そう思うと、ボクは納得します)

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長めの心電図は、説得力ありますね。 

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クリックすると、心電図が拡大します

 

 

 

なお、心不全(CS1)の原因は、ASRでした。

LV-Ao PG=70mmHg程度でした。

 

 

(傍胸骨左室長軸像)

[http://:title]

 

 

(心尖部3腔像:カラードプラ)

[http://:title]

 

大動脈弁が石灰化しており、可動性が低下しているは、ER心エコー(POC)でもすぐ分かります。

CWでの圧格差測定が苦手でも、聴診を加えることで、診断精度は高まります。

(呼吸が荒い時は、左鎖骨に聴診器:膜面を当てて、収縮期雑音を確認できます。)

 

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クリックすると、拡大します



 

 

 

(一年目研修医だった私)に、伝えたかったLECTUREでした。