これを、
頻脈型の心房細動が心不全の原因(or結果)で、LVH(左室肥大)有りそうですね。LVHを来す高齢者疾患を鑑別しよう。
とすぐに思えた方は、心電図検定試験2/3級(心房細動編)クリアだと思います(たぶん)。
「せんせい!PSVTの心不全が搬入されました!」
とよく勘違いしていた(一年目研修医だった私)へのLECTUREが、ココからは始まります。
80才代の女性で、起坐呼吸・喘鳴著明でER搬入でした。
クリニカルシナリオ:clinical scenario (CS1)です。
血圧 180/- 、脈拍数=160/min.
血圧の高い急性心不全治療の最初の90分は、基本方針はほぼ同じですが、ERでできる心不全の原因評価もあります。
頻拍です。
頻拍だと、PSVT・2:1伝導AFL・VTが鑑別に上がります。
→わりとnarrow QRSのVTもあるんです。
でも・・・
sBP=180mmHgのPSVT/VTは、ちょっと考えられない。
頻脈はショック状態でなければ、RR間隔をよ~く見つめて下さい。その気で見ると、RR不整見えてきます。見えるまで、長めに心電図記録するのが、コツです。
*P波のようだけど、ひとつひとつ形が違います。R波との間隔も異なります。
*RR間隔も不均一(デタラメ)です。きちんと云うと、絶対性不整なんです。
よって、PSVTもAFL(2:1伝導)も除外されます。
安定化したX+8daysの胸部レントゲンです。(ER時との比較)
安定化したX+8daysの心電図です。
明らかな心房細動ですが、V1の基線の揺れが、なんか整って見えるのが気になる方がいるかも。
*Pの消失
*RR間隔の絶対性不整
が揃えば、心房細動と診断する。
*細動波( F波 )を認めれば、さらに納得です(^_-)。
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心房細動のF波は、粗っぽくまとめると
心房内デタラメなマイクロリエントリーの団子です。
(そう思うと、ボクは納得します)
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長めの心電図は、説得力ありますね。
なお、心不全(CS1)の原因は、ASRでした。
LV-Ao PG=70mmHg程度でした。
(傍胸骨左室長軸像)
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(心尖部3腔像:カラードプラ)
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大動脈弁が石灰化しており、可動性が低下しているは、ER心エコー(POC)でもすぐ分かります。
CWでの圧格差測定が苦手でも、聴診を加えることで、診断精度は高まります。
(呼吸が荒い時は、左鎖骨に聴診器:膜面を当てて、収縮期雑音を確認できます。)
(一年目研修医だった私)に、伝えたかったLECTUREでした。