#blog-title{font-size:150%; }

Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-214:answer

80才代の男性で、肺炎でした。

 実は。。。

 この初期研修医のプレゼンは、全てバイアスです。内容はよいのです、心電図所見の見誤りを除けば。。

 プレゼンを無視して、もう一度、12誘導心電図をじっと見て、診断して下さい。

 脱水で、熱発で、食事を三日食べていなくて、呼吸不全ならば、心拍数=136bpmは、仕方ない気もしますが。。

Ecg214eraflforweb

クリックすると、ECGが拡大します。

 臨床症状のバイアスに惑わされずに、心電図だけを見ると、なんかおかしな頻脈です。

 Narrow-QRS-tachycardiaです。となると鑑別は、

*洞性頻脈

*頻拍性心房細動(rapid-Afib.)

*PAT

*AFL(2:1伝導)  たまに、1:1伝導。

 となります。

 私のお師匠様は、(まず、AFLの頻拍から考える)と仰有います。これを見落とさないでね、と云うメッセージだと思います。

 肢誘導の II, III, aVFを、じっと見て下さい。

 (Flutter波が、RRの間と、R波に重なってある。2:1の心房粗動だ)と思って見ると、そう見えませんか?

 そう見えない方のために、ATP静注しながら記録した心電図との比較をお見せします。

Ecg214atp12forweb

クリックすると、ECGが拡大します。

 2:1伝導が、ATPにより4:1伝導となっています。(下部比較図にて)

 もう少し解説しますと、

Ecg214atpforweb

クリックすると、ECGが拡大します。

* R波の中にもう一つのflutter波が隠れている(はずだ!)と思って頻脈の波形を見る。

* よく分からなかったら、ATPを静注しながら、12誘導心電図を記録する。flutter波が分かりやすくなる。

* この症例では、T波とflutter波が重なって、高くなっている部分がありますね。

 ATPは、数十秒で効果が切れますので、静注開始時から12誘導心電図記録を開始するのが、コツです。(記録用紙の節約を考えない!いまどきの心電計なら、メモリーに保存されますけど)

 ERでは、瞬時の判断が求められます。この症例は、肺炎が主体の入院で、心電図は本来脇役です。

 でも、2:1伝導のAFLでした。

 心拍数が136bpmと、やや遅めの2:1伝導AFLであったこと。肺炎・脱水・発熱・呼吸不全と、頻脈の存在を合理化して受け入れやすい病態であったことが、(これって、AFLじゃないの?)との疑問を想起できなかった理由でしょう。第一、忙しくて次の予定に追われていたし。

 結局サインアウトはされず、ATPでAFLの確証を得た後に、除粗動(100J同期)を施行しています。

 皆さんも頻脈を見たら、洞性頻脈と自信を持てるまで、きっちりと心電図モニター・12誘導心電図を、確認して下さい。









.

.

.

.

.