60才代の女性でした。
胸水も貯留し、労作時の息切れが続いての入院加療です。 入院安静で、尿量も増えて、症状も改善しましたが、この頻脈は治りません(=心拍数低下無し)。循環器科へコンサルトがありました。
最初の心電図を、よく見てます。
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クリックすると、ECGが拡大します。
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尖ったT波を、どう解釈するか、なんですね。
洞性頻脈で、たまたまT波にP波が乗っているのか?
高K血症?→血清カリウム値は、4.3mEq/Lです。
もしかして、2:1伝導のAFLでは?
この尖ったT波は、Flutter波では?
確認のために、ATPを静注して、房室伝導を一時的に抑制してみました。
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クリックすると、ECGが拡大します。
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*が、Flutter波です。
典型的なAFLでは、II,III,aVFでFlutter波(のこぎり波)が出現しますが、この症例では、V1,2でFlutter波が明瞭でした。
このように、心房粗動の回旋方向性により、その波が見える場所が異なってきます。
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ATPはすぐに分解されて、その効力は数分で切れてしまいます。ATPの効果がなくなり、再び2:1のAFLとなっています。
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クリックすると、ECGが拡大します。
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AFLは、薬物治療は困難です。除粗動は電気的に行いました。
洞調律化した後の12誘導心電図です。
基礎疾患は、HOCM(mid-ventricular obstruction )です。
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