心雑音のみで、AS(大動脈弁狭窄症)を、強く疑いますね。超高齢者の動脈硬化性ASの場合には、毎年0.1cm2くらいづつ弁口面積が減少するようです。弁口面積が1.0cm2以下でASの症状は始まるので、数年でかなり危ない状況となります。
と云うことで、今回はホントに危ない心電図です。
クリックすると、ECGが拡大します。
明らかなLVHの心電図に、胸骨右縁に強い収縮期雑音。右鎖骨上でも、diamond型の収縮期雑音を聴取します。ASを、もちろん考えます。(但し、これでHOCMなんて事もあるので、要注意です。)
なお、心電図でのLVHと、病理学的心肥大とは、イコールではありません。
ER受診時と、心不全症状の改善した5病日の心電図を比較します。 V4,5,6です。
クリックすると、ECGが拡大します。
ST-T変化が改善し、HRも減少しています。これは、虚血性心疾患とは考えず、心不全の改善で、心筋ストレスが減ったんでしょうね、と考えましょう。
ここまで、心電図と聴診で診断を絞り込めば、後は心エコーでHOCMなどの伏兵を除外するのみです。
(カラードプラでのモザイクの血流:AS)
ERで、取り敢えずカラードプラでサーチして、異常な高速血流がどこにあるのか、評価して下さい。Ao(Valsarba sinus)に、モザイクエコーを認めます。
(M-modeでのAS)
断層像がきちんと作れて、B/M-modeが記録できるならば、上記の測定もして下さい。静止画で、ASがあることを記録できます。(紙カルテの場合)
(CWによる圧格差測定)
ビームの投入方向が、決め手です。CWで、美しいenvelopeを描いており、圧格差は信頼性高いです。
これは、難しい症例ではありません。理路を、十分納得して頂くために、心エコー付きで、解説致しました。
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佐々木達哉先生との共著が、2020/1/23に発刊されました。
医事新報社からです。重版されました。
循環器版の(思考のレッスン)です。
村川裕二先生から、素敵な(推薦の辞)を頂きました。
まずは、立ち読みして下さい。私が援護射撃した佐々木ワールドが満開です。
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