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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-259:answer

   刺激伝導系は、あるとき急に伝導障害を起こすことがあります。突然の房室伝導障害出現では、

  •   ACS (ほとんどが、RCAの閉塞です)
  •  高カリウム血症による心電図変化
  •   薬剤性の徐脈(今回、徐脈を誘発する薬剤投与歴無し)
  •   Sarcoidosisなどの伝導系障害を起こす疾患の有無

  甲状腺機能低下症では、洞性徐脈がほとんどです。

  高カリウム血症での徐脈は、P波の消失消失/wide-WRS波形への変化が多い。

  これらがない=今回がそうですが=場合には、伝導系の単純な高度の障害です。病理学的には、いろいろあるでしょうが、超高齢者では、あるんですね。

  まず、やるべき事は、どのようなAVブロックが出現しているか、納得できるまで長めの心電図を記録してみることです。

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  著明な徐脈です。観察のポイントは、

◎  RR間隔が整か?    整ですね。

◎  P波とR波の関連性は?    関連性無し。完全房室ブロック。

 もうちょっと、よく見てみましょう。

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  最下段のモニター波形(II 誘導)を見て下さい。

  RR間隔は、きれいに揃っています。心室の異所性ペースメーカーが、自立的に作動しています。自立神経の支配は、ヒス束以下には及びませんので、rateの変動は起きにくいのです。

 V1誘導で、P波を確認します。

 は、ほぼ等間隔ですが、はSVPCですね、形態もやや異なります。健常人でも、PP間隔は揺らぎますし、SVPCも全く出ない例の方がめずらしいです。P 波は、いつもふらつくんです。

  完全房室ブロックの診断は、RR間隔が整で、(同じ形の)P波とQRS波の関連性が全くないことです。

  2年前の心電図では、CRBBB+LADと I 度房室ブロックです。

  1年前の心電図では、CRBBB+LADで、 I 度房室ブロックはぎりぎりありません。

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   CRBBB+LADですから、残っているのは左脚後枝のみです。これに、 I 度房室ブロックが加わるのは、左脚前枝の伝導性が不安定さを示しています。

  (2017年12/8に訂正:左脚前枝→左脚後枝へ。ごめんなさいm(_ _)m)

 

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   完全房室ブロックになる可能性を考え、要followとなります。ふらつきなどの症状があれば、Holter-ECGかLoop型植込み心電計での一過性CAVBの出現の有無を、評価します。

不整脈の非薬物治療ガイドライン(2011 年改訂版)

Guidelines for Non-Pharmacotherapy of Cardiac Arrhythmias(JCS 2011)の p-12

http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2011_okumura_h.pdf

  を、ご参照下さい。

  自覚症状のなかった頃のこの患者さんに、EPSを施行するかは、議論があると思います。   

  EPSやるからには、永久ペースメーカー植込み手術を行う前提(HV時間延長等あった際)ですね。

   高度房室ブロックを持つ患者さんは、要follow upだとご理解下さい。

【 二枝ブロック以上の患者群は、きっちり予後管理する 】

【 でも、患者さんとよくよく相談しないと、脱落多いです 】

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