80才男性です。
見ただけで、重度の左室肥大(severe LVH)と思われる方が、多いでしょう。
高血圧・CKDの末に、現在は維持透析を施行されている患者さんです。なかなか、透析導入に踏ん切りがつかず、その分高血圧が長期に持続していました。
6誘導心電図では、R波が被さって、波高が読みにくいですよね。
電子カルテの利点は、波形表示がクリック一つで変更できる点です。
2誘導づつの表示です。
クリックすると、ECGが拡大します。
⭕️ R波高の著明な高値。
⭕️ ストレイン型のST低下を認める。
⭕️ これが、側壁(I, aVL)にまで、拡がっている。
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単なるR波高値は、体型の問題に過ぎないことも多々あります。
ST-T変化とペアで出現して、初めて説得力を持ちます。
5年前の心電図がありました。
クリックすると、ECGが拡大します。
現在の波形と、5年前の波形を、胸部誘導で比較します。
このように、R波高もST-T変化も、左室肥大の進行により変化しています。
心エコー図です。
(左室長軸像)
(左室短軸像)
(四腔断層)
今回は、典型的な左室肥大の心電図でした。
原因は、高血圧の臓器障害が生じた病態でも、AS/ARの大動脈弁障害でも、なんでもいいんです。肥大型心筋症でもよい。
これだけ心電図が変化すれば、左室肥大としか、考えられません。
しかし、逆は真ならずです。心電図が、あからさまに変化するのは、左室肥大のかなり進行した状況です。心電図変化が少ないことから、左室肥大を除外はできないので、注意して下さい。
【 LVHは、高電位とST-T変化が揃うと、分かりやすい 】
【 心電図所見のみで、LVHの除外はむつかしい 】
【 成書のLVH心電図像は、あくまで典型例なので注意! 】
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