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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-184:answer

ECG-184:90才代女性。肺炎と心不全で入院の心電図です。

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** ハジメの1枚:新入職医師のための心電図-05 **

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( 成り立ての1年目研修医のための詳細な説明を、今回行ってみます )

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 心電図は、著明な左室肥大です。

 これに、右鎖骨部位での聴取できる収縮期雑音。

 →大動脈弁狭窄(AS)以外、まず思いつきません。

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 では、詳細な説明へ。

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(聴診について)

* うるさいERで聞こえる心雑音は、本物です。

* 収縮期な否かは、心電図モニター(を見ながら)で確認できます。

  又は、頚動脈拍動を触知して下さい。触れるときが収縮期です。

 {橈骨動脈では、時相差150msec.あり、ずれてダメです}

* 高齢者の明瞭な収縮期雑音は、まずASか・MRと、割り切る。

* 次に、HOCMか、まれにVSDか。TRも一応あり得る。

* しかし、詳細は心エコーにすぐ委ねましょう。

* ERでの聴診の役目は、心エコーに繋げることです。

* 右鎖骨に伝達されるのは、大動脈弁の音が大多数です。

  呼吸音に邪魔されないのが、この方法の利点です。

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(この心電図所見について)

* かなりのhigh-voltageです。

* でも、やせ型体型だけでも、voltageは高くなります。

* 左室肥大(LVH)を、voltageだけで判断してはいけません。

ストレイン型のST-T変化をきちんと呈しています。

* わずかですが、V1,2のST上昇は、この鏡面変化です。

* V1,2でQS patternですが、これは左室肥大で、水平面ベクトルが後方に向かっているために、こうなっています。虚血を意味しません。

 

* SVPCにより、RR間隔が揺らいでいますが、P波は反復性を持って確認できます。II, III誘導が、わかりやすいでしょう。

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Ecg184

 

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 現在、高齢者のASは大動脈弁硬化性のものが圧倒的です。40〜50才代でのASは先天性二尖弁を考慮します。(新規のリュウマチ性弁膜症に出会うのは、今の日本では、ほとんど無理。)

 この症例は、6年の間に大動脈弁狭窄での圧格差が、40→130mmHgと進んでいます。狭窄部位のVp(最高血流速度)の、4V2が圧格差となります。

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 この心電図を見て、

(とんでもない左室肥大がありそうだな)

(その理由は、大動脈弁疾患か、肥大型心筋症か、重度の高血圧の終末像か)

(病歴と心エコーで、結論を出そう!)

 と、思考が進めば十分です。

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Ecg184pgforweb

 大動脈弁と僧帽弁の弁輪部石灰化が、進んでいます。

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Ecg184chestxpcaas

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 胸部CT(coronal view)との比較です。

(注:大動脈弁とその弁輪部石灰化=ASでは、勿論ありませんよ)

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Ecg184chestxpchestct

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 6年前(X年)と、今回(X+6年)の心電図比較です。ASによる左室肥大の進行が、明瞭です。

Ecg184xandx6forweb

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* 著明なびまん性の左室肥大。壁運動の局在性の低下無し(このviewでは)

* 少量の心のう液・胸水あり。

* 大動脈弁の開放不全有り。

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