V1で tall-R wave となる病態が、いくつかあります。
根底にある電気生理学的説明は、
- ◎V1誘導部位に、起電力が高い心筋がある。
- (=右室肥大 :RVHか、この部位の肥大型心筋症)
- ◎V1誘導部位に向かう興奮波がある。
の、どちらかです。
Case-A:CRBBB(完全右脚ブロック)
器質的な心疾患を有さない、おだやかなCRBBB波形です。
*V1でのrsR`波形。
*120msec.(=3.0mm)以上の幅広いQRS.
*V6での幅て広なS波。
*I 誘導での+90°までの右軸偏位。
ピュアなCRBBBの波形イメージを体得して下さい。
(これに心疾患が乗ってきて、波形を色々と修飾します)
左室は刺激伝導系の高速伝播により一挙に興奮します。
その後に、ダラダラと右室に興奮が伝わります。池の波紋のように。このダラダラがV1のR`であり、V6の幅広いS波となります。I 誘導での大きなS波形成があり、CRBBBのみで+90°までの軸偏位は説明出来ます。
Case-B:ASDによる肺高血圧症。(Eisenmenger化した場合)
IRBBBかCRBBBか、ちょっと迷いませんか。
ぎりぎりIRBBBです。ASDに多いですね。
極度の右軸偏位で、CRBBBでは説明出来ません。
ASD の結果としての肺高血圧症→右室肥大です。
この症例は、Eisenmenger化していました。
*極度の右軸偏位があります。
*V1-3でR>Sです。ストレイン型のST-T変化です。V5,6あるとLVHですね。同じ事が、RVHでも起きています。
*右心負荷は、必ず右心系の拡大を伴います。時計軸回転となります。
*RVHによる狭く尖ったR波(V1-3)は、V5,6の狭く深いS波となります。
CRBBB と RVH(ASD)を、比較してみましょう。
*右軸偏位の程度の違い。
*V1-3のR波とST-T変化の違い(ココが大切)
*Pulmonary-Pのようですが、この有無はあんまり当てにならない。
なお、右室圧上昇の所見であり、ASDを想起させるのはIRBBBであることくらいです。
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