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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-149:answer

ECG-149:71才の元気な自営業の方。深夜の胸部不快発作でERへ来られました。

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 胸痛を伴って来院し、ST上昇があれば、ACSとして扱うのが、妥当ですね。
 循環器科を、緊急callで、研修医は正解です。
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 さて、心電図を判読してみます。
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◎ 洞調律です。
◎ V1-3で、ST上昇は示していますが、(風雲急を告げる)感じがしません。
◎ II, III, aVF,aVLで、何か変なSTの盆状低下があります。まるで、ジギタリス中毒のようです。
◎ 肥大型心筋症で、このようなST上昇を、示すことがあります。左室肥大のST低下のミラーイメージです。最も、V5,6で高電位と典型的なstrain-patternを認めるのが、普通ですけれど。
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  心エコーで、前壁中隔の壁運動障害を確認できれば、自信が持てますね。
 でも、この症例は、不思議と心尖部周囲しか壁運動障害を、確認できない症例でした。心エコーに慣れない方だと、かえって戸惑うかもしれませんでした。
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 緊急カテとなりました。 
 結果は、LAD just-proximalでの完全閉塞でした。
 再疎通に成功して、ICUへ入室となりました。
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 来院後、3.5時間後の心電図です。

E14901949654201312090447aticupostpc

クリックすると、ECGが拡大します。

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 ST上昇が、消失しています。普通の心電図みたいですね。
 胸部誘導にて、PVCの連発が記録されています。ACSでは、この直後にVT/Vfとなることがあるので、要注意ですね。
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 第二病日の心電図です。

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クリックすると、ECGが拡大します。

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 T波の陰転化が、明瞭となりました。いかにも虚血の心電図です。
経時的変化は、やはりACSそのものでした。
連続で心電図変化を、追跡することは、初見で診断を外しても、後で修正するチャンスを、得ることができます。
急性期には、いろいろなパターンがあり、時に心電図も当てにならないときすら、あることを、覚えておきましょう。
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