回旋枝 LCX-ACSの最終解説します。
from ECG- Case-103の解説です。
V1-4のST低下のみの pure posterior infarction です。
この後壁梗塞は、回旋枝由来です。
なお、以下の鑑別ポイントも理解しましょう。
- ◎右室肥大では、
- →V1で高いR波・時計方向回転・右軸偏位。がある。
◎LMT-ACSでは
→aVRのST上昇。(心電図検定試験的には、必須です。)
→ST低下は広範囲に発生する。
→またはI,III,aVFのみST低下で他の誘導で変化が少ない。
+ショックです。
→aVLでのミラーイメージでのST低下。
→房室伝導障害が発生しやすい。
→ST上昇は、III > II 誘導です。
→RCA遠位部閉塞でミラーイメージのV1-4のST低下出現。
◎たこつぼ心筋症では
→V1でのST-T変化が生じない。(ポイントです)
→心尖部瘤の変化なので、周辺の誘導で大きく変化します。
→midventricular/basalの場合は、心電図で分からない。
(だから試験には出せない・・ハズ)
from ECG- Case-014の解説です。
典型的な下壁・後壁・側壁梗塞です。
側壁梗塞=I 誘導・V5,6でのST上昇。
後壁梗塞=V1-4でのST低下。
下壁梗塞=II, III, aVFでのST上昇。
- ◎ST上昇が、II > III誘導。
- ◎aVLでのミラーイメージとしてのST低下無し。
- ◎伝導障害がないのも、示唆している。(これは付随的)
以前のお伝えしましたが、
*ミラーイメージはきれいに対側とは限らず、V1-4でST低下の隣で、V5,6のST上昇が示されることがあります。
*大きすぎる回旋枝だと、V1-5までST低下を呈することがあり。
*aVLは回旋枝分枝(OM-1)や前下行枝分枝(D-1)の支配領域であり、ST上昇すると高位側壁梗塞と呼ばれます。少なくとも、LCX-ACSでST低下はしません。
心エコーで障害壁運動の分布まで見ると、ハッキリするのですが、心電図検定試験の域を超えます。ER的には、組み合わせで判断します。
II, III, aVFにST-T変化無く、V1-4あたりのST低下のみだと、回旋枝閉塞によるLCX-ASの可能性が高まります。
LCXが大きくて、RCAがほぼ右室しか栄養しない症例や、RCAがとても大きくてLCXがないも同然な症例など、実臨床ではバリエーションあります。試験問題には出来ません。