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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-357:answer その5 = 心電図検定試験:傾向と対策 Q.005 =

回旋枝 LCX-ACSの最終解説します。

 

 

from ECG- Case-103の解説です。 

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クリックすると、心電図が拡大します

V1-4のST低下のみの pure posterior infarction です。

この後壁梗塞は、回旋枝由来です。

なお、以下の鑑別ポイントも理解しましょう。

 

  • ◎右室肥大では、
  • →V1で高いR波・時計方向回転・右軸偏位。がある。

 

◎LMT-ACSでは

  →aVRのST上昇。(心電図検定試験的には、必須です。)

  →ST低下は広範囲に発生する。

  →またはI,III,aVFのみST低下で他の誘導で変化が少ない。

   +ショックです。

 

RCA-ACSでは

  →aVLでのミラーイメージでのST低下。

  →房室伝導障害が発生しやすい。

  →ST上昇は、III > II 誘導です。

  →RCA遠位部閉塞でミラーイメージのV1-4のST低下出現。

 

たこつぼ心筋症では

  →V1でのST-T変化が生じない。(ポイントです)

  →心尖部瘤の変化なので、周辺の誘導で大きく変化します。

  →midventricular/basalの場合は、心電図で分からない。

   (だから試験には出せない・・ハズ)

 

 

 

 

from ECG- Case-014の解説です。 

f:id:heart2019:20200107200003j:plain

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典型的な下壁・後壁・側壁梗塞です。

 

側壁梗塞=I 誘導・V5,6でのST上昇。

後壁梗塞=V1-4でのST低下。

下壁梗塞=II, III, aVFでのST上昇。

 

RCA-ACSでない理由。(=LCX-ACSの理由)

  • ST上昇が、II > III誘導。
  • aVLでのミラーイメージとしてのST低下無し。
  • 伝導障害がないのも、示唆している。(これは付随的)

 

 

以前のお伝えしましたが、

ミラーイメージはきれいに対側とは限らず、V1-4でST低下の隣で、V5,6のST上昇が示されることがあります。

*大きすぎる回旋枝だと、V1-5までST低下を呈することがあり。

aVLは回旋枝分枝(OM-1)や前下行枝分枝(D-1)の支配領域であり、ST上昇すると高位側壁梗塞と呼ばれます。少なくとも、LCX-ACSでST低下はしません。

 

心エコーで障害壁運動の分布まで見ると、ハッキリするのですが、心電図検定試験の域を超えます。ER的には、組み合わせで判断します。

 

II, III, aVFにST-T変化無く、V1-4あたりのST低下のみだと、回旋枝閉塞によるLCX-ASの可能性が高まります。

 

LCXが大きくて、RCAがほぼ右室しか栄養しない症例や、RCAがとても大きくてLCXがないも同然な症例など、実臨床ではバリエーションあります。試験問題には出来ません。

 

以上、回旋枝のACS心電図でした。これだけくどいLCX-ACS解説ブログは、きっとありません (^^;)。