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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

【コラム-056】昭和の心電図 平成のECG

  昭和末期に、医師になりました。  当時は、心エコーも心カテも、極めて限られた施設だけで、行われていました。PCIも、カラードプラ心エコーも、ありませんでした。  

  急性心筋梗塞は、ヘパリンを点滴投与し、キシロカインを持続静注(今は、ほぼ禁忌!)して、心破裂が起きませんようにと、お祈りするのが、仕事でした。
   心疾患の診断に、普通に使えたのは、 ◎ 聴診能力 と 心音図・心機図 ◎ 胸部レントゲン ◎ 心電図  だけだったのです。
   聴診は、アートであり、職人芸でした。(聴診十年、とも云われました)  胸部レントゲンは、前後・側面に、左右の斜位を撮影していました。(心臓の形を、知るためです)  なお、CTは頭部のみで、一症例30分撮影に要していました。
 こういう時代に、心電図は、とても偉大だったのです。  どんな田舎の病院でも、保証された品質のdataが、得られたのですから。
 そこから、できるだけの情報を得ようと、していました。
   心エコーもCTも、ろくにない時代に、それは、妄想も含んでいました。
 ST部分が直線化し、T波も平坦化したら、中年以上では、「冠硬化症」などと云うもっともらしい診断名が、付けられたりしました。
 PCIのない時代で、急性心筋梗塞は、Q波が出現するのが、当たり前でした。今は、きれいなQ波を持つ心筋梗塞は、とても少ない印象です。
 全医学生が、Dubinの心電図テキストを、洋書か和書かを問わず、持っていました。他になかったのです。(と私の記憶では、なっています)
 やがて、心エコーで、心肥大も心拡大も、心筋壊死も、弁膜症も、心奇形もわかる時代となります。CTが、冠動脈まで描出してくれます。
 EBMの波は、もちろん心電図の世界にも、波及しました。
   虚血心でのQ波=貫壁性心筋壊死も、MRI等の解析で、単に心筋壊死の量の問題で、貫壁性か否かは、問題でないことが、わかりました。  発作性心房細動患者の動悸は、Holter-ECG解析で、単にSVPC多発の時に感じている場合もあることが、わかっています。
  心電図に、全人的(?)能力を求める時代は、とっくに終わりました。他で得られる情報は、そこで得られれば良い。世界中のevidenceは、いつでも書籍・ネットで得られます。  でも、簡便で安全で経験の多い心電図は、こちらが問いかけると、実にいろんなヒントを、私たちに与えてくれます。  その声を、聞き取るのに、このブログが少しでもお役に立てば、うれしいです。  
 よいお年を。 2014/12/31
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