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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-331:answer(1/3)

循環器看護師の方々への症例解説です。

心電図理解が、中心です。(ECGブログですから)

 

Heavy-smokerの40代男性が、激烈な胸痛でERに来院しました。

 

(何を考えますか?)

急性心筋梗塞(ACS)

大動脈解離(Aortic Dissection)

肺塞栓(PE)

たこつぼ心筋症

気胸

 

理学的所見のみで、これらの鑑別は難しい。

(参考になる理学的所見はあります。でも確定はちょっと。。)

*血圧の左右差・異常な高血圧・痛みの移動 (大動脈解離)

*呼吸音の左右差・患側胸部の膨隆  (肺塞栓)

 

リスクファクターの喫煙は、どれでも起こしそうで、鑑別にならない。

 

すぐに行うべき検査は、

 

12誘導心電図 (10分以内に記録すべし!)

   →急性冠症候群ガイドライン(2018 年改訂版) p-21

   http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2018_kimura.pdf

 

 

これでACSと断定できなければ、心エコー、心筋酵素(トロポニン/CPK)評価となる。(詳細な病歴は、当たり前)

 

他を鑑別するために、単純&造影胸腹部CTも必要となる可能性大。

 

でも12誘導心電図で今回は、ほぼ確定診断とします。 

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クリックすると、心電図が拡大します

 

 

V1-5I 誘導、aVLでのST上昇があり、広範囲な前壁の急性心筋梗塞であることは、確かです。

II,III,aVFでのST低下は、ミラーイメージです。(右冠動脈は、intactなハズです。)

 

いつ起きたのか?(この心電図で、発症24時間後もあり得ます)

突然の胸痛発作出現時を、とりあえず発症時間としましょう。この心電図と症状では、様子を見るという選択枝はありません。 自院 or 他院を問わず、PCI施行出来る施設での対応が急がれます。

 

V1ST上昇は、(タコツボ心筋症)を否定します。心尖部にタコツボパターンができる(=もっとも多い)症例では、心基部誘導(V1)が変化しないのが特徴です。(タコツボ心筋症)の除外診断に役立ちます。

 

留意すべきは、大動脈解離→左冠動脈閉塞の出現例があり得ることです。(右冠動脈閉塞合併が、一番多いのですが)

バルサルバ洞~上行大動脈を注視したエコー検査が必要です。おかしいと思ったら、単純&造影胸腹部CTを行います(但し、Door to Balloon time遅れるし、造影剤の量も増えてしまいます)

 

広範囲前壁梗塞ですので、心機能の著しい低下が起きても不思議はありません。

BiPAPIABPPCPSもあるかもしれません。

 

経時的心電図変化を考える。

血液検査結果が、心カテ室入室前に出ました。その後の変化もあります。

それらの判定は、次回です。