** ハジメの1枚:新入職医師のための心電図-04 **
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60才代男性です。喫煙歴無し。
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心電図の所見として得るべきは、
* PVCの頻発(三段脈)
* PVCのST部分に乗ったP波。
* II, III, aVFにある尖ったP波。
ですね。
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胸部レントゲンからは、
* 滴状心(drop heart)
* 側面より、ちょっと漏斗胸か?
→でも、心臓の変異はなく、病的問題はないようです。
→胸部CTでも、気腫性変化はありません。
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心臓は(電気的)立位心であり、心房内ベクトルは、より垂直に下方を向いています。下壁誘導たるII,III,aVFで、P波は高くなります。
なお、この症例での心エコーでは、右室の拡大・右室壁の肥大はなく、TRも測定できない程度でした。(肺高血圧は、ありません)
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尖って高いP波で II,III,aVF 誘導で2.5mm以上のP波高が、(肺性P波)の定義となります。
この症例は、これを満たしますが、だからと云って肺疾患があるとは限りません。(つまり、肺高血圧がないと云うことですね。)
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【 肺性P波なのに、肺疾患でないことは、よくありますよ!】
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12誘導で、もう一度見てみます。
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PVCによる三段脈です。三回に一回PVCが、出現していますね。(A)
PVCのST部分に、P波が見えます。これは逆行伝導では無く、普通にP波が出たけれど、PVCのために心室まで伝導できなかった訳です。(これを、blocked PACとは、呼びません。prematureでは、ありませんから。)(B)
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(C)は、II,III,aVFでの尖った高いP波です。
(D)は、低電位のQRSです。また、aVR=aVLで、QRSは陰性を呈しています。これらは、電気軸が真下を向いていることを、意味します。
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これは、(危険な心電図)ではない、と云うのが今回の学びですよ。
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