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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-311:answer(2/2)

ならば、AVNRT

ならば、AVRT

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クリックすると、ECGが拡大します。

 

他にも鑑別すべきですが、それはアブカテ戦士の先生方にお任せです。12誘導心電図で、どうこうなるものではない。(long-RP`問題は残りますが)

 

基本は、洞調律心電図との比較です。QRS-ST-Tを頻拍時と比較してみましょう。

Ecg311312web_1

クリックすると、ECGが拡大します。

 私は、の所見に引っ張られました。特にV1,2QRS末端が、pseudo-r`に思えたんです。AVNRTに一票を投じました。

 

 でも、ひろ@循環器内科先生にご指摘頂いた T 波の頂点のポッチは、やっぱり今見るとP`なんですよね。独りだと、迷いの森に入ってしまいました。この辺は、理論値&経験値の差が、出て参ります。

 

 言い訳すると(するなよ!)、めまい・ふらつきの症状が引っかかっていました。(ふらつきの自覚症状は、AVNRTAFLで出現する)とのお師匠様の言葉を思い出していました。AVRTは回路がでかいので、心房と心室の同時興奮とならないからか。でも、例外はいくらでもあるのが、臨床の習いですね。HR=200bpmだし。

 

 アブカテをお願いした施設からは、orthodromic AVRT(左室側壁のFastケント束による)と返書を頂きました。アブレーション後に、AVRTが薬物負荷でも再発しないのを確認して、終了となりました。

 以後、動悸発作も出現しておりません。

 今回のアブレーション治療の素晴らしい点は、患者さんが(医療から開放された)事です。めでたし・めでたし。

 

Ecg3116

 

 この症例では、4回ほど12誘導心電図がアブカテ前に記録されていますが、デルタ波は検出できませんでした。

 間欠性WPW症候群と云うのもありますが、この場合はケント束の伝導性自体が悪いので、頻脈発作は出現しにくいようです。

 逆行伝導しか許さない潜在性WPW症候群(concealed WPW syndrome)の症例でした。なぜ、逆行性伝導しか許さないのか?・・よく分かりません(-_-;*)

 

 

 復習です。

 

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AVNRTでは、逆行性P波が見えない事がほとんどである。

QRSの終了部に逆行性P波が見えることあり。

    →V1,2pseud-r`波。

                II,III,aVFでのpseudo-s

*洞調律時に無く、頻拍発作時にのみ認めると、診断価値が高い。

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AVRTでは、ST-Tにおいて、P`波を認める。

    →V1,2での陽性P`波。

    →下壁誘導での陰性P`波。

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 この症例では、V1,2T波上の陽性P`波は、よく分かります。下壁誘導での陰性P`波は、正直???でした。

 

 

 

 沢山のAVNRTAVRT12誘導心電図波形を見て、腕を磨くしかないですね。EPSで結果の分かった症例で。さらに(しょせん、12誘導心電図)と限界も理解しましょう。

 

 

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