▲ならば、AVNRT
▲ならば、AVRT
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他にも鑑別すべきですが、それはアブカテ戦士の先生方にお任せです。12誘導心電図で、どうこうなるものではない。(long-RP`問題は残りますが)
基本は、洞調律心電図との比較です。QRS-ST-Tを頻拍時と比較してみましょう。
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私は、▲の所見に引っ張られました。特にV1,2のQRS末端が、pseudo-r`に思えたんです。AVNRTに一票を投じました。
でも、ひろ@循環器内科先生にご指摘頂いた T 波の頂点のポッチは、やっぱり今見るとP`なんですよね。独りだと、迷いの森に入ってしまいました。この辺は、理論値&経験値の差が、出て参ります。
言い訳すると(←するなよ!)、めまい・ふらつきの症状が引っかかっていました。(ふらつきの自覚症状は、AVNRTとAFLで出現する)とのお師匠様の言葉を思い出していました。AVRTは回路がでかいので、心房と心室の同時興奮とならないからか。でも、例外はいくらでもあるのが、臨床の習いですね。HR=200bpmだし。
アブカテをお願いした施設からは、orthodromic AVRT(左室側壁のFastケント束による)と返書を頂きました。アブレーション後に、AVRTが薬物負荷でも再発しないのを確認して、終了となりました。
以後、動悸発作も出現しておりません。
今回のアブレーション治療の素晴らしい点は、患者さんが(医療から開放された)事です。めでたし・めでたし。
この症例では、4回ほど12誘導心電図がアブカテ前に記録されていますが、デルタ波は検出できませんでした。
間欠性WPW症候群と云うのもありますが、この場合はケント束の伝導性自体が悪いので、頻脈発作は出現しにくいようです。
逆行伝導しか許さない潜在性WPW症候群(concealed WPW syndrome)の症例でした。なぜ、逆行性伝導しか許さないのか?・・よく分かりません(-_-;*)。
復習です。
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*AVNRTでは、逆行性P波が見えない事がほとんどである。
*QRSの終了部に逆行性P波が見えることあり。
→V1,2のpseud-r`波。
→II,III,aVFでのpseudo-s波
*洞調律時に無く、頻拍発作時にのみ認めると、診断価値が高い。
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*AVRTでは、ST-Tにおいて、P`波を認める。
→V1,2での陽性P`波。
→下壁誘導での陰性P`波。
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この症例では、V1,2のT波上の陽性P`波は、よく分かります。下壁誘導での陰性P`波は、正直???でした。
沢山のAVNRT、AVRTの12誘導心電図波形を見て、腕を磨くしかないですね。EPSで結果の分かった症例で。さらに(しょせん、12誘導心電図)と限界も理解しましょう。