20才代男性で、動悸での来院でした。
このブログの第一症例で取り上げたのと、同じ病態です。
http://heart2012.cocolog-nifty.com/blogkoko2012/2012/06/ecg00118-er-704.html
Question-01のanswer:pseudo-VT
WPW症候群が、心房細動化したために、Pseudo-VTを起こしています。診断自体は、あまり難しくありません。書籍で何回か見ているか、ERの現場で1回経験していれば、瞬時に分かるようになります。
* 形や高さが不揃いなwide-QRS (ケント束を流れる電流の割合によって異なる)
* P波が無く、RR間隔の絶対性不整 (心房細動のお約束)
* 一見VTにしか見えないど、上記を知っていれば、すぐにPseudo-VTとすぐに理解される。
一旦理解すると、もうpsuedo-VT以外しか、考えられなくなります。
クリックすると、ECGが拡大します。
Question-02のanswer:アミサリンによるケント束切断。
アミサリン(procainamide hydrochloride)は、今でもよく使われる抗不整脈薬です。但し、静注のみですが。
これは、ケント束を切断する効果と、心房細動を洞調律化する効果と、両方が期待できます。心機能を抑制しますので、血圧が低くて、左心収縮能が極度に低下していると、choice出来ません。
なお、ワソラン(verapamil)の選択は、バツです。ワソランは、房室伝導のみを抑止するために、結果としてケント束の伝導をよくしてしまい、心房細動のrateを速めてしまいます。
この症例では、アミサリンの点滴静注でケント束遮断に成功(=デルタ波の消失)しましたが、心房細動は残りました。
アミサリン静注の効果自体は、すぐに終わってしまいます。
電気的除細動の施行を選択しました。
その後の心電図では、洞調律化しましたが、デルタ波復活です。
クリックすると、ECGが拡大します。
と云うことで、
Question-03のanswer:B型のWPW症候群
この症例はもちろん、後日カテーテルアブレーションとなりました。
⇒追加です。
私 「で、あの患者さんアブカテの結果はどうなった?」
主治医「紹介先から、返書頂きました。アブカテお勧めしましたが、ご本人少し考えたいとのこと、後日ご報告します、ですって。」
私 「えっ、(T_T)。お尋ねメール頂いたのに。。」
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