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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

コラム-112:質問箱より (公式問題集&ガイド/実力心電図)を解説する -Q-77の心房細動での(WPW type-B)とCLBBBの鑑別

質問箱より

(公式問題集&ガイド)と(実力心電図)への質問にお答えして

 

心電図onlyの質問箱を昨年から始めたところ、

上記の本への質問を沢山頂きました。

 

(公式問題集&ガイド)と(実力心電図)の解説:の解説をけっこう致しました。

今回、まとめてみました。

 

なお、設問・心電図・その解説を転載する事は、控えます。

ご自身の本で、確認してくださいね。

 

 

 

Q:公式問題集&ガイド(Q-77)で、I,V5,6でノッチのあるwide QRSで、かつV5,6でseptal qの消失・V1でrSパターンなので、心房細動+CLBBBと考えたのですが、どこで間違ったのでしょうか?)。

 

 

CLBBBに見えてしまうのは、宜なるかなと思います。

じっくりと波形を見てみましょう。でも、心電図が小さいですね。。

(なお、2021/1/11#心電図検定試験では、A4横に大きな心電図波形が提示されたので、安心されて下さい。)

 

*心房細動なので、PQ短縮は分かりません、トホホ。

 

 

 

 

 

通常は、WPW症候群で心房細動と言えば、このような波形を思い浮かべますね。

心房細動を伴った(WPW syndrome  type-A)です。

f:id:heart2019:20210127162128j:plain

クリックすると、心電図が拡大します

RRの絶対性不整があります。

P波ありません。

*不気味なwide-QRSです。

*波形毎に、QRSの形が違います。

 

胸部誘導の最後より3拍目は、正気に戻ったようにnarrow QRSです。

 

 この解釈が、問題ですね。

 

 VT時の(capture beat)なのか? → 違います。RR不整の心房細動です。

 

 ケント束の不応期に細動波がブロックされて、正常な房室結節伝導によるnarrow QRSなんですね。

 

 

我らがlitfl.comより、Q77に似た心電図を提示します。

 

Atrial fibrillation with WPW type-B syndrome です。

f:id:heart2019:20210127162348j:plain

クリックすると、心電図が拡大します

 

 

Q-77と同様な点は、ケント束の伝導が鈍いことです。

正常な房室結節を伝導する際は、narrow QRSとなっています。

 

3,4,9,10,13,14,15,16拍目で、ケント束を含む房室伝導となっています。

*ここにデルタ波を確認することで、WPW症候群と判定出来ます。

(この症例では、右室後中隔(or CS/MCV)側にケント束があり、下壁誘導はQSとなっています。)

*ケント束の伝導と房室結節の伝導が、程よく低下している場合にのみ、このような現象が発生すると思われます。

Q-77の心電図よりも、こちらの方がケント束の伝導が悪そうですね。

 

(間欠性WPW症候群)とは、このように同じ心電図内でデルタ波が出たり引っ込んだりするのを、呼ぶと正式にはなっております。

 

 

今回の学び

【伝導性の悪いケント束もある】

【B型WPW症候群で心房細動合併すると、CLBBBと迷います】

【デルタ波を懸命に探す】

WPW症候群では、RR絶対性不整+QRSの波形が心拍毎に微妙に異なっている】